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2019年第3四半期(7~9月期)のM&A~取引金額上位15傑~

2019年第3四半期(7~9月期)のM&Aは前年同期比14件減の208件だった。同四半期として200件を超えるのは3年連続。上期を含めた1~9月期でみると、合計602件で、2009年以来10年ぶりの600件台に乗せた。日銀による金融緩和が引き続きM&A市場の活況を後押ししており、海外での大型企業買収も相次いだ。

上場企業の適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介のストライク(M&A Online)が集計した。

7~9月期のM&Aの総開示件数208件のうち、日本企業がかかわる海外案件(買収のほか、売却、日本企業がターゲットになる場合を含む)は49件とほぼ4分の1を占める。M&Aをテコにグローバル展開を加速している様子がうかがえる。

取引金額が1000億円を超える大型案件は5件。1000億円超の案件は今年に入り9月末までに11件あるが、第3四半期だけでほぼ半数を占めた。

最大案件はアサヒグループHD

日本企業によるM&Aで今年最大となったのが豪ビール大手のカールトン&ユナイテッド・ブルワーズ(CUB)を約1兆2000億円で買収するアサヒグループホールディングス(HD)の案件。酒類事業の買収としては2014年にサントリーホールディングスが米ウイスキー大手のビームを約1兆6000億円で傘下に収めたのに次ぐ規模となる。

CUBはビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)の子会社。アサヒはCUBの販路を活用し、「スーパードライ」など主力商品の売り上げ拡大を目指す。

今年のM&A市場で最大の“サプライズ”となったのが国内最大級の衣料通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOを子会社化するヤフー(10月1日にZホールディングスに社名変更)の案件。EC(電子商取引)事業で先行するアマゾン、楽天を追撃するのが狙いだ。

TOB(株式公開買い付け)を通じて50.1%株式を取得する。買付金額は4007億円。ZOZO創業者で前社長の前澤友作氏は約37%の保有株式のうち30%強についてTOBに応じる。

これに続くのが東京センチュリーの案件。約3200億円を投じて、米国の航空機リース大手、アビエーション・キャピタル・グループ(ACG)の買収を決めた。株式75.5%を追加取得し、完全子会社化する。

ユニゾへのTOBにも注目

帰趨が注目されているのが不動産・ホテル業のユニゾホールディングスの子会社化を目的とする米投資会社フォートレス・インベストメント・グループのTOB。旅行大手エイチ・アイ・エスの敵対的TOBに対抗し、フォートレスはユニゾ経営陣の賛同を得たホワイトナイト(白馬の騎士)として参戦した。買付金額は最大1368億円。

しかし、9月末、ユニゾはこのTOBへの賛同を撤回した。一方、フォートレスはTOB期間をすでに3度延長(11月1日まで)し、全株式の3分の2超の応募がないと不成立となる。さらに米投資会社のブラックストーンが対ユニゾTOBに名乗りを上げる意向を示し、混迷の度が一段と深まっている。

南青山リーダーズ編集部

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