東京の都市競争力は世界3位、起業支援に難点も
森ビル系シンクタンク、森記念財団都市戦略研究所の「世界の都市総合力ランキング2018」において、東京はロンドン、ニューヨークに次ぐ3位を獲得した。順位は前年と同様だが、2位のニューヨークとの差が開いた。東京は外資企業の誘致や起業支援、空港アクセスなどが難点だとされている。
「環境」分野での低評価がネック
同調査は、「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の各6分野70項目で世界のメジャー都市44ヵ所をスコア付けして総合評価した。東京は、前年に比べて「総労働時間の短さ」で改善が評価され、居住分野でトップ10に入った。また、「GDP成長率」が上がったことなどで、経済分野でもトップ3に加わったが、「環境への取り組み」の評価(29位)が、全てトップ10入りしている他の分野に比べて相対的に低いのが目立つ。「環境」分野の評価が上がれば、東京は総合力のある都市として魅力が増すだろう。
「働き方」や「買い物」「食事」「公共交通の正確さ」は高評価
各分野の詳細は以下の通りだ。「経済」面では、東京は3位。世界中で「働き方改革」が求められており、よりワークプレイスに自由度が求められる中、コワーキングスペースの充実さが評価され、東京はスコアを伸ばした。「研究・開発」では東京は2位。都市に活力を与えるイノベーションという観点から「スタートアップ環境」が評価される。
北米やヨーロッパの都市、またアジアからはシンガポールが上位入りする中で、「スタートアップ環境」の項目に関して東京は残念ながら18位と改善の余地が見られた。「文化・交流」では、東京は「買い物の魅力」や「食事の魅力」が高く評価され4位だった。ホテルの数も多いものの、上位のロンドン、ニューヨーク、またアジアではシンガポールなどに比べて超富裕層が求めるハイクラスなサービスを提供する施設が少ないことがネックになっている。
「居住」分野で東京は9位。その中でも「総労働時間の短さ」の項目で前年の34位から22位へと大幅な改善を遂げた。官民一丸となって取り組んでいる「働き方改革」の成果が認められたといってよいだろう。しかし、「住宅賃料水準の低さ」と「物価水準の低さ」という指標においては、他の上位都市と同様に順位を下げている。
「環境」分野では、ストックホルム、チューリッヒ、コペンハーゲンがトップ3を占め、ウィーン、ジュネーブ、ベルリンもトップ10入りするなど欧州都市の躍進が目立つ。一方、シンガポール(全体5位)もこの分野では順位を落としており、アジアの都市はグローバルシティーとして環境配慮が足りない傾向があるようだ。
「交通・アクセス」分野の全体で東京5位。しかし、「公共交通の充実・正確さ」の評価は高いものの「渋滞の少なさ」では32位と課題が見える。また、直行便の就航数も26位で、1位のロンドンの3分の1以下だ。
都市部のオフィス需要は堅調、「区分所有オフィス®」なら活用広がる
同調査で、東京は起業支援の分野で出遅れていることがわかった。これは行政も認識している点で、東京都は年間1,000社のベンチャー創出を掲げている。不動産需要という側面から見れば、スタートアップの増加はプラスに働く。とくに、調査でも評価されているように、東京における商業不動産市場では、コワーキングスペースの伸長が目立つ。
CRBEの調査によると、賃貸オフィス成約面積に対するコワーキングオフィス開設面積比率は7.9%まで高まっている。そして、小規模事業者だけでなく三井不動産のような不動産大手もコワーキングやシェアオフィスの運営に参入しているのだ。そんなコワーキングの運営で重視されるポイントのひとつが「利便性」だ。
最近は、深刻化する待機児童問題やラッシュアワー混雑緩和の解決策のひとつとして、リモートワークを導入する企業も増えている。そうした場合に、ワークプレイスとして交通の便がよいコワーキングスペースを利用する人も多い。コワーキングの伸長などで、利便性の高い都市部のオフィス需要は堅調の見通しが続く。
都心の利便性が高いオフィスを1フロアから所有できる「「区分所有オフィス」は、こうしたニーズが見込める都心のオフィス物件を区分スペースやフロアごとに所有する投資手法だ。自社物件であれば、コンベンショナルなオフィス賃貸だけでなく、自社利用やコワーキングへのリノベなども可能となる。「区分所有オフィス」を通じて、資産価値の高いオフィス物件を手に入れてみてはいかがだろうか。(提供:百計オンライン)
※「区分所有オフィス®」は株式会社ボルテックスの商標登録です