東京オフィス市場の賃料、リーマンショック後の最高値に
ニッセイ基礎研究所が2018年9月に発表したまとめによると、国内経済の緩やかな回復を受け、東京のオフィス空室率は、ファンドバブル期と同水準となる1%前半まで低下し、賃料はリーマンショック後の最高値を更新した。今回は、そんな東京のオフィス空室率と賃料について詳しく見ていこう。
東京、大阪ともにオフィス市場は堅調
2018年第2四半期の東京都心部Aグレードオフィスビルの空室率は、前期比0.6%低下の1.2%。賃料(坪当たり、共益費除く)は月3万6,952円( 前期比+5.5%)となり、リーマンショック後の最高値を更新している。特に、大手町・丸の内といったオフィス街で需給のひっ迫が顕著だ。
一方、JLLのまとめによると大阪のAグレードオフィス市場は、空室率0.8%で、6四半期連続の低下。1%を割り込むのは2007年末以来となっている。賃料(坪当たり、共益費込み)は前年比10%増の月1万9,875円だ。札幌、福岡、京都といった地方都市でも、需給のタイトな状況が続く。リーマンショック後、採算面から新規供給が抑えられてきた地方のオフィスマーケット。しかし、昨今コールセンター需要の拡大などでオフィスニーズが拡大しており、空室率の低下と賃料の高止まりが起きている。
五輪を控えた景気拡大、外国人ワーカー増加も追い風に
2020年の東京五輪を控え、国内景気の拡大とともに就業者数は増加傾向にある。特に、オフィス供給の受け皿となる「情報通信業」「金融・保険業」「学術研究、専門・技術サービス業」では就業者の拡大が顕著だ。また、昨今は少子高齢化による人手不足に悩む企業も多い。こうした企業が人材獲得のため利便性の高い都心部に移転するケースも見られる。
ますます都心部でのオフィス需要は増加している。加えて、フリーアドレス制やリモートワークの導入など、働き方の多様化が求められている傾向だ。新規採用に加えて既存の人材をつなぎとめるためにも、働きやすさをアピールし、オフィス環境の改善に取り組む企業も増えている。広いスペースを確保するためのレイアウトの見直しや、魅力的なワークプレイス作りを目指しオフィスを移転する動きも多い。
さらに、外国人ワーカーの増加もオフィス需要に寄与している。「専門的・技術的分野の在留資格」を持つ外国人(いわゆる「高度外国人材」)の多くは東京に集中しており、その数は2008 年の4万人から 2017 年には3倍強と増加傾向だ。政府は、今後も高度外国人材の受け入れ拡大を表明しており、外国人オフィスワーカーを雇用する企業のオフィス需要が高まると考えられる。
新規開業ラッシュで「二次空室」を懸念
一方、2018~2020年にかけては、都内を中心に大型ビルの新規開業ラッシュが控えている。ただ、こうした新規開業ビルの多くは既にテナントを確保しているため、だぶつく心配はないようだ。ここで懸念されるのは、「二次空室」の問題だ。なぜなら、既存のオフィスビルから新規開業ビルにテナントが移転すると、移転元のビルが空いてしまうからだ。
そのため、テナントが移転したビルのオーナーがどれくらい賃料を落とさずに次のテナントを見つけられるかどうかが、景気動向を占う真の決め手となるだろう。
堅調な不動産市場で価値が高まる「区分所有オフィス®」
このように、今後数年にわたって都内・地方都市ともにオフィス需要が堅調に推移すると考えられる。こうした中、企業の資産運用手段としておすすめしたいのが「区分所有オフィス」だ。都心部のオフィスビルは資産価値が高まりやすいため、長期的に高い賃料を提示しやすい一方で、一棟購入には資金的なハードルも高い。
そこで、都心部の利便性が高い立地にあるオフィスビルをフロアごと、あるいは部屋ごとに分譲して所有する「区分所有オフィス」であれば、資金を抑えつつ資産価値の高い不動産を所有できる。また、自社オフィスとして都心への移転を検討する場合も、「区分所有オフィス」であれば無駄なスペースが生じることなく、必要なスペースのみを購入し、活用することができる。
賃貸物件と違って、購入した「区分所有オフィス」は将来的な資産として確保することもできるので、自社オフィスから賃貸用に変更することも可能だ。(提供:百計オンライン)
※「区分所有オフィス®」は株式会社ボルテックスの商標登録です