最近よく見る緑バッグの配達員「Uber EATS」の魅力
東京や横浜などの都市部において、最近、緑の大きなリュックを背負って自転車に乗っている人を見かけたことはないだろうか?その正体は「Uber EATS」のドライバーだ。Uber EATSとはどのようなサービスで、どんな魅力があるのだろうか。ビジネスの実態に迫る。
自由度の高い出前サービス「Uber EATS」
四角い緑のバッグを背負い、街中を自転車でさっそうと駆け抜ける……それは「Uber EATS」の配達員だ。Uber EATSとは、ひとことでいえば飲食のデリバリーサービスのこと。自動車配車サービスのUberが2015年から(日本では2016年から)始めた。
Uber EATSには多数のレストランや食品店が登録されているのだ。利用者は、そのなかから好みのメニューを選び、スマートフォンのアプリやウェブ上で注文する。すると、店舗の近くにいる配達員(Uber Eatsでは「配達パートナー」と呼称)が車、自転車、またはスクーターでレストランに向かい、商品をピックアップして、注文した人の元に届けてくれるという仕組みだ。
商品の価格は、店頭価格とほぼ同額かやや高めに設定されている。最低注文金額はなく、どんな商品でも1つから届けてもらえるのが魅力の一つといえるだろう。基本の配送料は一律380円だが、利用者の多い時間帯には配送料が高くなる仕組み(ダイナミック・プライシング)が導入されている点も面白いところだ。
利用者、レストラン、配達員それぞれにメリット
Uber EATSは、利用者、レストラン、配達員それぞれにメリットのあるサービスといえるだろう。まず、利用者にとっては、上記のように便利なサービスを享受できること。これまでの出前サービスには登録されていなかったレストランや店舗も多く登録されており、支払いは全て登録したクレジットカードで行うので手間がない。また、公園などの屋外にいる場合もピンポイントで商品を届けてもらえる。
レストランにとっては、これまでデリバリーに対応していなかった店舗でもデリバリーサービスが利用できるようになるので、事業拡大が期待できる。予約が取りづらい高級レストランはもちろん、知る人ぞ知る小さな個人商店なども、Uber EATSを使うことでより多くの人に食事を提供できるのだ。
そして、配達員。Uber EATSの配達は、社員や外部の業者が担っているのではない。個人の配達員がパートナーとなって配達を担っている。自転車または原付バイクとスマホを持っていれば、登録するだけで誰でも配達員になることができる。そして、いつでも自分の都合のいい時間に稼働し、歩合給で報酬を得ることが可能だ。Uber Eats配達員は手軽で割りのいい副業の手段として注目されている。
Uber EATS以外にもシェアリングサービスは世界に広がる
Uber Eatsのようなシェアリングエコノミーを用いたデリバリーサービスは、世界で急速に広がっている。たとえば、インドネシアを中心にアジアで利用者が多いのが「GO-JEK」。元々はバイクタクシーの配車サービスだったが、Uber Eatsのようなフードデリバリーに展開したのだ。さらに、買い物代行、マッサージ師の派遣、ホームクリーニング、チケット購入代行などデリバリーサービスの領域を広げている。
バリやジャカルタの街中ではGO-JEKのドライバーが走る姿を至る所で見かける。人々の生活にとってGO-JEKが欠かせないサービスの1つとして定着していることがわかるだろう。また、LINEもタイで「LINE MAN」という宅配サービスに参入している。スマホ時代の到来によってデリバリーサービスは新たな局面を迎えたといえるだろう。
現在のところ利用できるのは都市部のみ
Uber Eatsが現在日本で展開している地域は、東京23区や横浜市、大阪市、川崎、神戸市、京都など、一部の都市に限られる。サービスエリアは徐々に拡大してはいるが、今後もやはり都市部に限定されることだろう。人口がある程度密集していて、宅配に対応している店舗が多いエリアでなければビジネスとして成り立たないのだろうと推測される。
反対に考えれば、都市部であるからこそ成り立つシェアリングサービスは、これからもどんどん出てくるのではないだろうか。Uberもニュースリリースのなかで、「都市とともに前進していく」と表明している。Uberに限らず、都市生活の魅力を高める新サービスの登場に今後も期待したいところだ。(提供:百計オンライン)