事業構造の変革、リスク分散に!企業の事業多角化を考える
経営環境の変化は近年ますます速く激しくなる中で、企業はどのようにして変化に対応するべきだろうか。その解決策の一つが多角化戦略だ。もし本業の収益が急速に悪化したとしても、多角化により本業以外の収入源が確保できていれば、事業活動を継続することができるからだ。
多角化はさまざまな目的を達成する手段となる
既存の事業を維持しつつ積極的に新しい分野に進出する多角化は、事業構造を変革させ経営リスクを分散させる効果がある。また、すでに持っている経営資源を有効活用するという側面もある。企業が継続的に成長していくために、新市場開拓や新製品開発と並んで多角化は欠かせない戦略の一つといえるだろう。
多角化には4つの形態が存在する。
まず、既存と同様の顧客に対して関連製品・サービスを提供する「水平的多角化」。バイクメーカーが自動車を販売する、といった展開が挙げられる。次に、既存の製品に対して、川上方向あるいは川下方向に事業を拡大していく「垂直的多角化」。たとえば食品メーカーが店舗を構えて食品の小売りも始める、といった例だ。
「集中的多角化」は、既存と新規の製品を関連付けて多角化を進めること。酒造メーカーがその技術を生かし、バイオ関連事業に進出するといったケースがある。4つめの「集成的多角化」は、技術・対象顧客の両面で関連性のない分野に進出することだ。
いずれにしても、多角化をすれば必ず業績向上や成長が実現するわけではない。単一事業から複合事業になればマネジメントの難易度は上がり、舵取りを失敗する可能性もある。新たに始めようとする事業のリスクを見極めて、多角化を検討する必要があるだろう。
手堅い収益が見込める不動産事業
では多角化を図る際、どのような事業に進出すればいいのか。基本的には既存の事業のノウハウや技術を活用できる分野で多角化を進めることが、リスクを抑えるためには理想といえる。ただ、比較的容易に進出でき、かつ手堅く収益を上げられる分野も存在する。不動産業だ。
鉄道会社各社がそのいい例だろう。ほとんどの鉄道会社は、本業である鉄道事業以外に、住宅・ビルの開発、ホテル・リゾート・ショッピングセンターの開発といった不動産事業も営んでいる。
鉄道会社以外でも不動産事業に取り組む例は多い。たとえばTBSグループでは、放送(テレビ、ラジオ)、映像・文化といった事業のほかに、赤坂のテナントビル等を運営する不動産事業を展開している。放送事業が苦戦している一方で、不動産事業の収益性は抜群だ。同グループの連結営業利益188億円のうち、およそ4割に当たる約80億円を不動産事業が占めているほどである(2018年3月期決算)。
またフジテレビや講談社、朝日新聞といった大手メディア企業でも軒並み、不動産事業が経営を支える大きな柱となっている。
なぜ収益の多角化に不動産事業を選ぶ企業が多いのか。それは不動産事業、そのなかでも不動産賃貸業を、手堅く収入を得る方法と考えているからだ。不動産賃貸事業は世界最古の投資ともいわれるほど、普遍的なビジネスモデルとして確立している。時代の趨勢に関係なく、いつの時代も安定した収益が見込める事業として多くの企業が認めているのだ。
立地のよい「区分オフィス®」を利用した多角化
鉄道会社やメディア会社ほど規模は大きくない会社でも、不動産事業への多角化に乗り出すことは可能だ。不動産にもいろいろな種類があるが、有力な選択肢として挙げられるのが「区分所有オフィス」だろう。
「区分所有オフィス」とは、都心にある中規模オフィスビルのフロアもしくは部屋を所有するという、新しい不動産所有の形態だ。区分所有なので、小規模ビルを一棟購入するよりも少ない資金で事業を始められ、かつ改装などの変化にも柔軟に対応していくことが可能だ。
開発余地の少ない都心のオフィスビルであれば、マンションやアパートといった住居系物件のように人口減少による需要悪化の影響を受けづらく、安定した稼働率が期待できる。
本業のリスクヘッジに、あるいは企業に成長をもたらすために、長期的に安定した収益をもたらす事業として「区分所有オフィス」は有益な選択肢となるはずだ。(提供:百計オンライン)
※「区分所有オフィス®」は株式会社ボルテックスの登録商標です