ホーム > 経営 > 経営戦略・IPO・M&A > 「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」の限界と落とし穴

「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」の限界と落とし穴

(写真=Dusit /Shutterstock)

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)は、米国企業が開発したマネジメントの手法です。明快な理論と使いやすさが功をなし、企業経営において日本でも活用が注目されたフレームワークである。

企業戦略には将来に向けての売上向上だけに焦点を当てるだけでは不十分で、継続的な成長に至るまでのプロセス、アプローチ、タイミングがより肝心である。しかしながら、市場は日々カタチや色を変えながら成長している上、PPMを活用しても一筋縄ではいかないケースもあるのが実情だ。

単純であるからこそ、細部まで正しく分析できないと疑問視されるPPM。ここでは知っておくべきPPMの限界と陥りやすい落とし穴について解説していこう。

PPMの二つのポイント「ライフサイクル」と「マーケットシェア」

「ヒト・モノ・カネ」は企業において最も重要な資源である。PPMはこれらの優先順位を決めるために活用する有効的なフレームワークであり、市場成長率とマーケットシェアによりプロットされる。

● ライフサイクルの重要性
PPMの一つめのポイントはライフサイクルだ。製品(事業、サービスを含む)には、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つのライフサイクルが存在し、これらをプロダクト・ライフサイクルと呼んでいる。

ライフサイクルは人間でいう寿命と同じで、誕生・成長を経て、やがて死を迎えるという考えに相当する。基本的に企業が提供する製品、事業、サービスにも同じように寿命が存在するというもので、PPMを活用する上でポイントとなる項目だ。

● マーケットシェア「経験曲線」による影響大
PPMの二つめのポイントは、マーケットシェアである。マーケットシェアでは、PPMの経験曲線による効率や生産スケールが影響する。大きな市場の場合は「生産効率の良さ」「エラーの軽減」「製造コスト減」が期待される。

マーケットシェアをPPMで最も有効的に活用するには、まず製品の販売数量、利益、市場成長率をもとに製品の位置を認識し、マーケットでの動きをいち早く把握することだ。場合によっては早期撤退などの措置が必要になってくるが、製品に対してのマネジメントや事業展開を検討するための戦略には必須である。マーケットシェアの動向を知ることは人の動き・製品の鼓動を認識する場所でもあるのだ。

PPMの限界と落とし穴

企業経営において積極的に活用されているPPMだが、ここに活用の限界と落とし穴があった。

● 企業寿命の短縮化は何を意味するのか?
生き残り競争が激しい近年では、企業寿命が短縮化されているのが事実である。ライフサイクルの長さも変化しつつあるということだ。

PPMを活用する上で、製品のライフサイクルは最も重要なポイントである。企業単位での寿命に関わらず、製品、サービスにおいての寿命の長さを慎重に図らないと、間違った分析結果をはじき出すことになる。

● ライフサイクルに「生き返り」はないのか?
PPMの軸であるライフサイクルには「製品には寿命がある」という前提条件がある一方で「企業は継続する」という信念のような考えがあるのも事実である。100年以上続く老舗企業が立派にあるように、製品・サービス単位でも成熟するかに見えた市場が活性化して再成長するケースは存在するのである。

PPMの4つのクラスターを思い描いてほしい。「花形」である企業でも数年後に「負け犬」となり、「負け犬」と酷評された企業が「花形」へ返り咲くこともあるということだ。

現行のPPMで指摘される問題点はいくつかあるとされており、経営指針を図るために用いられるべきフレームワークには限界がある。見えない落とし穴、つまり「例外」があるということを、経営者は認識しておくべきだ。

南青山リーダーズ株式会社 編集部