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法人保険(長期平準定期保険)を活用して将来キャッシュを増加させよう

(写真=stoatphoto/Shutterstock.com)

法人保険を活用することによって、会社経営上においてメリットを享受できるとの話を聞いたことがある方は多くいると思います。例えば、税負担の軽減や、キャッシュフローの積立です。

実際、長期的な経営計画の中でうまく活用することにより、退職資金の積み立てや事業承継対策が可能となります。また、万が一、経営上で資金の問題が生じた際も解決の手助けとなる側面もあります。

保険商品には様々なものがありますが、今回は長期平準定期保険にスポットをあててそのメリットを紹介していきたいと思います。

1. 長期平準定期保険のメリット

・ 保険料の損金算入により税務上のメリット(節税効果)が受けられる。
・ 将来キャッシュフローの積み立てが通常の積み立てと比較して多くできる。
・ 経営上で資金的な問題が発生した時に資金の穴埋めに利用できる。

このように、長期平準定期保険の使用により、毎期のキャッシュアウトを節税効果により抑えることができ、将来多額のキャッシュが必要になった時の備えを行うことが出来ます。

それでは、具体的に1つ1つの内容を、数値例を用いて見ていきたいと思います。

2. 長期平準定期保険活用による節税効果及びキャッシュフロー増加の効果とは

ここでは、実際に以下の契約状況を前提に毎期の節税効果及び将来キャッシュフローの増加を確認したいと思います。

<前提条件>
経営者:45歳
退職予定年齢:60歳
死亡保険:2億円
保険料:毎期610万円
解約返戻金のピーク:15年後の60歳
解約返戻金のピーク時の金額:約9,177万円
15年後の退職金支払額:4,500万円
法人税率:30%
返戻率のピークは、保険期間全体の当初60%までの期間でむかえるとする。

<推移表>
1. 税務上の考え方
・ 支払時
まず、長期平準保険の保険料を支払った際に税務上のどのように取り扱われるかというと、税務上は、「2分の1が資産計上され、2分の1が費用処理(保険料)」されます。仕訳のイメージは以下の通りです。

【仕訳】
(前払保険料)305万円  (現金等)610万円
(支払保険料)305万円

この支払保険料は税務上損金算入される(費用として認められる)ため、通常の積み立てと比較して当該金額に法人税率をかけた金額の節税効果が生まれます。

・ 解約時
そして、解約し返戻金を受け取るときは、支払時に積み立てていた資産の残高を取崩し、差額を雑収入(雑損失)処理されます。仕訳のイメージは以下の通りです。

【仕訳】
(現金等)  9,177万円 (前払保険料) 4,575万円
(雑収入)   4,602万円

2. 保険料支払時の節税金額の検証
次に、上記契約時の節税効果を確認します。

今回の契約においては、毎期保険料を610万円支払うため、毎期の節税額は91.5万円となります。91.5万円は、毎期の支払額610万円のうち2分の1の305万円が税金計算上費用として認識されるため、305万円相当の最終利益が、毎期少なくなります。そのため、305万円に税率30%をかけた91.5万円分税金の支払いが少なく済みます(節税効果が生まれます)。

年間91.5万円の節税効果により、解約時までの15年間で約1,372.5万円分のキャッシュの積み立てが実現されます。保険を用いず単に積み立てを行った場合は、税金計算上の費用とされる部分がないため、節税効果は生まれません。

3. 解約返戻金受取時
ここで、節税効果が生まれても、結局解約時に返戻率が100%を上回った場合、解約時の雑収入に対して必要以上の税金が発生すると思われるかもしれません。

そこで、解約返戻金の時期と退職金の支払時期を合わせることで、退職金の支払額(4,500万円)と解約返戻金時の雑収入相当額(4,602万円)を相殺し、税額の発生を抑えることが可能となります。

・ 解約時仕訳イメージ
(現金等)9,177万円 (前払保険料)4,575万円
           (雑収入)  4,602万円

(退職金)4,500万円 (現金等) 4,500万円

全体として考えると以下の通りとなります。

3. 経営上で資金的な問題が発生した時の事前対策として

ここまで見てきた通り、長期平準定期保険は資金積立の効果があります。したがって、経営上で資金的な問題が発生した時に、一部解約又は全部解約により資金の不足部分を充当することができます。

もちろん、途中解約の時点の返戻率が低い場合、通常の積み立てよりも取崩時点の資金が少なくなるかもしれませんが、他の保険商品と比較した場合長期平準定期保険は解約返戻金のピークが長い(返戻率の高い期間が長い)ため、他の保険商品よりも利用しやすい内容となっています。

また、長期平準定期保険には契約者貸付の制度があります。借入限度額は、その時点の解約返戻金の90%程度であるものの、資金調達の手段となります。

最後に

このように、長期定期平準保険は退職をまだ先に控えている比較的若い経営者の方にとってメリットの多い保険と考えられます。

ただし、保険料を多額に設定すると毎期の資金不足に陥る可能性や解約返戻金のピーク期間と退職時期が大きくずれると損をする可能性もあります。

今回はメリット部分を中心に記載いたしましたが、メリットとデメリットを比較し、その商品の特徴をよく理解して、さらに適切な専門家等に相談しながら、長期的にうまく活用するのがよろしいのではないでしょうか。