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自社株算定にはどのような方法があるの?

camera_alt (写真=Indypendenz/Shutterstock.com)

相続税などの計算で疑問になるのが「株式」の評価方法だ。預金や不動産価格のように価格がそれほど大きく動かない資産の評価方法は比較的簡単だ。しかし、株式市場に上場していない中小企業の株式はどう計算すればいいのか。将来的に、子供に自社を継がせたいと思っているようなオーナー社長にとっては、相続税を抑えることは会社の存続にも関わる一大事だ。

従業員が数人程度の会社を運営している人も含めて、将来的に相続が発生するときに慌てないように、今のうちにきちんと把握しておく必要がありそうだ。そこで、取引されていない「非上場会社」の株価をどう評価すればいいのか。同族会社のオーナーやその一族が所有する株式のことを「自社株」と呼んでいるが、その自社株の算定方法について学んでみたい。

国税庁の「財産評価基準通達」に定められている株価算定方法

相続や贈与によって取得する非上場会社の株式は、その評価方法が細かく分類されている。株主の状況や会社の規模などによっても大きく異なってくる。

そこで、評価方法の基礎になるものが国税庁が発表している「財産評価基本通達」だ。詳細は税理士などの専門家に相談するのがベストなのだが、基本的な知識として知っておくべきことがいくつかある。自社株の評価方法として関係してくるのは、「会社の規模」と「業種」、そして「議決権の有無」の3つと考えていい。

会社の規模による区分だが、非上場会社といっても従業員が数百人の会社もあれば数人のところもある。すべて同じ方法で評価することはできない。未上場企業は「大会社」「中会社」「小会社」の3つに分けられ、さらに「中会社」は「中会社の大」「中会社の中」「中会社の小」に分類される。厳密にいうと、ここにさらに「業種」による違いも反映されてくる。会社と規模と業種による違いが、自社株の評価には大きく関係してくるということだ。

一方、議決権の有無というのは、支配権を持つ「同族株主」であるか、あるいは同族株主の一員であっても支配権を持たない株主、そしてそもそも支配権を持たない「同族株主以外」であるかによって区分されると考えていい。

「純資産価額方式」とは

実際の評価方法は大きく分けて3つに分類される。原則的評価方法の「純資産価額方式」と「類似業種比準方式」、そして特例的評価方法に分類される「配当還元方式」だ。

「純資産価額」とは、現時点で会社を清算して評価した場合、いくらになるのかを示す額で、会社のすべての財産(資産)からマイナス部分の負債を差し引いた金額のことだ。最終的に残る財産と考えればいいだろう。

とはいえ、会社の貸借対照表などの決算書だけでは正確な資産の額が分からない。会社が購入した設備や備品などは購入時の価格、いわゆる「簿価」が掲載されているため、そのままの数字では正確な資産価値を示していない。そこで、簿価を時価に修正して計算した数字を使うことになる。

「類似業種比準方式」とは

純資産価額方式に対して「類似業種比準方式」とはどんな方式なのか。

類似業種比準方式は基本的に大会社の場合に適用される方式だ。その名の通り、類似業種のケースと比較して算出される方法である。大きな会社はそれだけ資産も多くなり、同族経営者とはいっても莫大な評価額になってしまう恐れがあり、通常の純資産額から評価していく純資産価額方式とは異なる方法で評価額を調整している、と考えればいいかもしれない。

類似業種といっても業界によって大きな違いがある。その部分をどう調整するかについては、国税庁が定期的に「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種別株価等について」という法令解釈通達を出している。直近の平成28年分については、2017年1月16日付で最新版が公表されている。

特例的評価方式の「配当還元方式」とは?

支配権を持っていない株主に対して、あるいは「小会社」に対して適用される「特例的評価方式」は、「配当還元方式」と呼ばれる評価方法が採られる。

この方式は、これまで紹介した方式のなかで最も評価額が低くなる方式だ。会社の経営に影響力を持たない人の持株に対して、もしくは、配当を受け取る以外に利益が生じないような株主を対象とした計算方法と考えればいい。

詳細は専門家に相談を

自社株(非上場株式)の評価方法は、規模・業種・議決権の有無などによって評価方法が異なり、さらに個別の計算方法も少々難解である。詳細は税理士などの専門家に相談していただきたい。


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