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「選択と集中」とはいいのか、悪いのか?

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(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

1990年代半ば以降、日本でも「選択と集中」が注目され始め、2000年代に経営改革の一環として行う企業が多くなった。その結果、成功した企業もあれば失敗した企業もある。「選択と集中」とはいったい何なのか、どのような事例があるのか、こうした事例を知ることで、自社の経営戦略にも役立てることができるだろう。

「選択と集中」とは?

まず「選択と集中」について説明しよう。「選択と集中」とは、企業が行う事業領域の中から自社が最も強みとする領域などを選択し、そこに自社の経営資源を集中投入することで高い成果や発展を得ることができる、と考える経営手法である。

また、選択するのは事業領域の中からだけではない。自社にとって重要となる顧客を選択し、その顧客のニーズにマッチする商品やサービスを展開するのも「選択と集中」の一環である。

なぜ「選択と集中」が有効といわれているのか?

こうした「選択と集中」はなぜ有効といわれているのだろうか?それは、自社にとって必要不可欠な事業とそうではない事業に分け、必要不可欠な事業に経営資源を集中的に投下することが効率的な経営手法となるからである。

そして、赤字の事業や必要不可欠とはいえない事業を縮小、売却などの検討をすることで、ヒト・モノ・カネといった経営資源を必要な場所に投下する。また、シナジー効果を生まない事業を切り離し、収益拡大の効果を高めることが、「選択と集中」が有効といわれる理由である。

選択と集中の注意点はないのか?

ただし「選択と集中」はどのようなケースにおいても有効というわけではない。まず「選択と集中」を行うこと自体が、リスクがあるということだ。確かに成功すれば、収益をあげる力は向上するかもしれない。ただし、リターンがあればリスクもある。なぜなら、特定の事業領域に特化するということは、分散投資ではなくなる。それにより、外部環境の変化にも大きく左右させられる可能性が高くなる。

新たな代替品が出た場合の脅威も大きくなる。この場合には、自社の特化した領域の商品やサービスが顧客にとって魅力のあるものに映らなくなる可能性がある。こうなった場合には収益拡大どころか収益が激減するおそれもある。

もう一つの注意点は、長期的見通しに基づく経営戦略かどうかだ。仮に「選択と集中」により特定領域や特定顧客へとターゲットをしぼったとしても、長期的視野でとらえた場合、その分野だけで経営を行っていくことはむしろ至難の業となる可能性もある。短期的利益の追求のあまり、永続的な繁栄(ゴーイングコンサーン)を見失う可能性があるのだ。

「選択と集中」の実行例を紹介

こうしたメリットとデメリットがあるのが選択と集中だ。実際に行われたケースを確認していこう。

2015年には世界最大級のコングロマリット企業であるGE(ゼネラル・エレクトリック)が、中核事業ともいえる金融部門から前面撤退し、製造業に経営資源を集中すると発表した。GEの金融部門の中核はGEキャピタルという会社であり、一時はGE全体の売上高および利益の半分近くを稼ぎ出していた。その事業から撤退するというのである。

GEが金融部門を縮小させる理由としては、金融危機以降、融資事業での資金供給が困難さを増した点、つまり金融当局の規制が厳しくなったことが挙げられる。簡潔に表現すると「儲けづらくなった」ということだろう。GEは今まさに「選択と集中」を進めている最中であり、この決断の評価はまだ定まっていない。

「選択と集中」は、自社の強みだけではなく外部要因や他社が模倣できるか、シェアを奪われる要素がないか、などといった観点も考えなければならない。行えばそれで良し、ではないのだ。また、その後の展開も考慮したうえで「選択と集中」を行い、収益を高める戦略をとらなければならない。