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株式交換とは? 知っておくべき3つのポイント

camera_alt (写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

M&Aと聞くと、多額の資金が必要と考える方も多いことだろう。しかしながら、現金や借り入れによる買収だけがM&Aではない。手元の資金を使わずとも買収できる方法がある。それが「株式交換」だ。M&Aアドバイザリー業務の実績が豊富な南青山FAS株式会社が、株式交換について解説していく。(作成:南青山FAS株式会社) 詳細については、こちらにお問合せ下さい。

そもそも株式交換とは?

株式交換とは、会社法に基づく組織再編手法のひとつだ。

具体的には、買収する側の会社の株式と買収される側の会社の株式を交換することにより、完全な親子会社関係(100%子会社化)を形成する企業買収手法である。買収される側の会社の株式を保有する株主に、買収する側の会社の株式もしくは新株を交換する代わりに、買収される側の会社の株式を買収側が受け取ることで株式交換が成立する。こうして買収する側の会社が親会社となり、買収される側の会社が子会社となる。

株式交換の実施には、原則、株式交換の効力発生日の前日までに、双方の株主総会の特別決議による承認を受ける必要がある。なお、一定の場合、株主総会の決議は不要となる(略式手続・簡易手続)。

ここで親会社と子会社について少しだけ確認しておこう。親会社とは子会社の株式を保有し、事業や財務などの方針を決定することができる、いわば子会社を支配する関係にある会社をいう。一般的には、親会社が子会社の株式を過半数保有しているケースが該当する。

なぜ株式交換を行うのか?

株式交換を行う理由は主に2つある。1つ目の理由として、現金を用意しなくとも買収ができるメリットがある。買収側は自社株もしくは新株の割当により株式交換を行うため、買収資金の準備という制約がかからず、買収側の負担が軽減できる。また、仮に買収する側の株式価値が高い場合には、現金での買収よりも株式交換を活用した方が低い金額で買収可能となる場合がある。

もう1つの理由は、グループ化を迅速に行いたい場合だ。株式交換では買収される側の会社が子会社となるため、グループ化を着実に進めることができるのだ。なお、買収される企業の株主にとってもメリットがある。仮に買収完了後、そのグループ内でシナジー効果が発揮され、事業が成長軌道に乗り、株価が上昇すれば、交付された株価があがり、恩恵を受けることにもつながる。

どのような時に株式交換を行うのか?

これまで見てきたように、株式交換は親会社・子会社関係を構築する際に用いられる買収手法であるため、グループ化により複数の企業を所有するケースなどに使われることが多い。また、成長性の高い企業であれば、手元資金を事業拡大(本業)へ回したいため、買収による成長は自社株で行うケースも多い。

このように資本政策上、最適な買収方法を模索しながら株式交換を検討していくことになる。なお、株式交換が実施されるケースは、買い手(親会社となる企業)が上場企業であることが一般的だ。

株式交換と似たような方法「吸収合併」との違いは?

株式交換と似たような方法に、吸収合併という方法がある。

吸収合併とは、2つの会社が合併する場合で、1つの会社を残し、もう1つの会社を消滅させる。1つの会社となることから、消滅する会社の資産・負債、権利・義務は残る会社に全て引き継がれることになる。一方の株式交換では、あくまでも親会社と子会社の関係になるため会社が消滅することは無い。そのため、資産・負債、権利・義務は維持され存続することになる。

以上、株式交換の内容、株式交換をする理由、吸収合併との違いについて確認してきた。M&Aを検討することがある場合には、株式交換も視野に入れてみてはいかがだろうか。

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