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VC、CVCについて、その種類、特徴、メリット・デメリットを紹介(中編)

camera_alt 寄稿者 Zolak さん

はじめに

一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)が、2023年に本組織に加盟するVC(ベンチャーキャピタル)ならびにCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)に対して、投資方針に関するアンケートを実施しました。

その結果、投資金額を「増やす」と回答した企業は全体の31.5%、「今まで通り」と回答した企業は58.4%と、昨年に続き、約9割の会員が今後の投資方針について「現状維持または増加」という回答結果になっています。

このようにスタートアップやベンチャー企業へのVC及びCVCからの投資は今後も継続して行われていく様子がアンケートからもしっかり読み取れます。

参照先:一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会/プレリリース

ではそもそもVC及びCVCとは一体どのような組織なのでしょうか?

またその投資の目的は何でしょう?

本記事(中編)では、VC及びCVCについて、前編に続き、VCを活用する際のメリット・デメリット、VCとの出会い方など、詳しく紹介します。

VC(ベンチャーキャピタル)を活用するメリット

VCから出資を受けるメリットは主に以下の5つです。

大きな資金の調達がしやすくなる

メリットの1つめは、調達先が一度に大きな資金の調達が可能な点です。

金融庁の資料によると、日本のVCの1件当たりの平均投資額はおよそ1~2億円であり、出資を受けているスタートアップの資金調達額の中央値も1.2億円であることからつじつまは合っています。

また銀行融資と異なり、出資は返済義務がない点もVCから出資を受けるメリットといえます。

参照先:金融庁/VC市場の状況/日本のVC平均ファンド規模・1案件あたり平均投資金額の推移

VCから経営資源やノウハウの提供が受けられる

メリットの2つめは、VCから経営資源やノウハウの提供が受けられる点です。

VCは業界や業種を超えて豊富な投資実績を有しているため、出資した企業に対して資金の支援だけでなく、他の経営資源の提供、経営戦略のアドバイスや問題解決のためのサポートもできます。

またそれを受けて出資を受けた企業も新たな成長戦略を策定して実行しやすくなります。

VCを通じ企業や経営者とのネットワークが広げられる

メリットの3つめは、VCを通じて企業や経営者とのネットワークが広げられる点です。

VCから出資を受けると、VCが持つ様々な企業や経営者とのネットワークに参加できる機会が増えるので、自社が持つネットワークの範囲がさらに広がるでしょう。

ネットワークが広がれば、新たな業務提携先企業や取引先が見つかったり、優秀な人材の紹介も得られたりするなど、多くのメリットが発生します。

資金の返済義務がない

メリットの4つめは、調達した資金に返済義務がない点です。

銀行や日本政策金融公庫等の金融機関から融資を受けると、必ず定期的な返済義務が発生します。

一方VCから出資を受けてもその資金に対して返済義務がありません。

これは創業間もない新興企業にとって資金繰りが厳しい時期だけに大きなメリットです。

VCから出資を受けたら、企業は対価として自社株の一部をVCに譲渡すれば良いので出資金を返済する必要はありません。

返済不要の資金が得られれば、会社の資金繰りの負担も軽減されるので、企業は自社業務の遂行に専念できます。

企業として信頼性が向上する

メリットの5つめは、企業としての信頼性が上がる点です。

VCから出資が受けられると、その実績で企業の外部からの信頼性が向上します。

特に知名度が高いVCから投資が受けられると、「有名VCから認められた成長性ある企業」としてさらに信頼性が大きく上がることでしょう。

結果として業界内における自社評価も上がるので、新規取引先の開拓や優秀人材の確保など、様々なメリットにつながります。

VC(ベンチャーキャピタル)を活用するデメリット

VCから投資を受けられれば様々なメリットが得られますが、同時にデメリットもあります。

以下で主要なデメリットについて3点詳しく紹介します。

自社の持株比率が下がる

デメリットの1つめは、自社の持株比率が下がる点です。

VCから出資を受けられれば資金調達できる一方、保有する株式の一部をVCに譲渡したり、新たに自社株式を発行してVCに譲渡したりする必要が出てきます。

これらはいずれも自社の持株比率の低下につながり、その結果、株主総会の決議に必要な株式数が不足すれば、経営に対する発言力や影響力が減ってしまいます。

会社法において特別決議や普通決議に必要な株式割合は、議決権株式の2/3以上や過半数であるため、VCから出資を受けるときには、一定の独立性を確保するためにも、必要以上に持株比率が下がらないよう、慎重な判断が必要になります。

経営への干渉を受けて方向性を変更させられるリスクがある

デメリットの2つめは、VCから経営への干渉を受けて、自社がめざしている方向とは違う向きに方針転換させられるリスクがある点です。

VCから出資を受けると、その額によっては必要以上に保有する株式をVCに譲渡せざるを得なくなります。

その結果、譲渡する議決権株式の割合によっては、VCに自社の経営に過度に介入されるケースも起こってきます。

財務リターンが当初に期待したほどでないと、VCは経営のテコ入れの名の下に経営者や現場責任者を送り込んできて、自社が望んでいないような方向へと経営を方向転換させられることもあります。

早期に結果を出すことを求められる

デメリットの3つめは、早期に結果を出すことを求められる点です。

VCは複数の他の投資家から資金を預かって対象先に投資しているため、投資が成功しているかどうかを常に重視して、その成り行きを見守っています。

そのためVCは投資先に対して早期のリターンを求める傾向が強く、出資を受けた企業もそれを意識した経営を行い、VCを満足させる結果を出すよう努めねばなりません。

さらに当初に期待されたような結果が出ない場合には、VCは投資から撤退する意向を強めるので、企業としてはそのリスクも含めて迅速に対応していく必要があります。

VCとの出会い方

VCから出資を受けたい場合、どのようにVCと接触する機会を持つか、そのコンタクト方法を4つ紹介します。

直接連絡する

多くのVCは公式サイトや各種の公表資料に自社の連絡先を載せています。

VCそのものにも種類や特徴があるので、それらを横断比較しつつ、自社のビジネスプラン、資金調達の目的等と照らし合わせて、マッチングできそうなVCがあれば、直接アプローチをかけて接点を持つのが、VCと出会える一番簡単な方法です。

友人知人や金融機関・取引先からの紹介

VCから出資を受けている友人知人にVCを紹介してもらったり、懇意にしている金融機関や取引先から紹介してもらったりするのも、VCとコンタクトを持つひとつの方法です。

特にVCから投資を受けている方ならそのVCの投資方針や特徴もよく知っているので、コンタクトを取る前に事前に情報を詳しく入手することもできます。

紹介による方法は、お互い相手がよく分かっているので、基本的にVCと関係構築が容易にできるようになるでしょう。

ただし実際に出資してくれるかどうかは、事業の成長性や安定性など、あくまでVCによるシビアな判断が必要なため、安易な期待は禁物です。

VCのシビアな調査分析に対処するためにも、投資先としては事前にしっかりとプレゼン資料を作り込んだり、面談に対して用意周到な準備をしたりと、努力を怠らないようにしましょう。

イベントやビジネスコンテストに参加

VCが主催するイベントやビジネスコンテストに参加して、自社の顔を売り主催者と知り合いになることもVCと知り合う適切な方法です。

VCがイベントやビジネスコンテストを開催する目的は明らかで、成長の可能性の高いベンチャーやスタートアップを見つけ、投資機会を探ることです。

双方のニーズがマッチすれば投資の話もスムーズに進むので、出資を必要としている企業なら、これらのイベントやコンテストに積極的に参加することはメリットしかありません。

公的機関の支援事業の活用

公的機関が行っている支援事業を活用することも、適切なVCを見つける良い方法です。

政府や地方自治体の関係機関、具体的には中小機構や商工会議所などの公的機関が、出資を求めているベンチャーやスタートアップ等の新興企業にVCを紹介する事業を行っています。

また公的機関が行っている支援制度やプログラムは、基本的にベンチャーやスタートアップを支援することを目的としているため、活用すればいち早く適切なVCが見つかって、資金調達のチャンスが広がります。

おわりに

本記事(中編)では、VCを活用した際のメリット・デメリット、ならびにVCとの出会い方について詳しく解説しました。

次回後編では、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)について、CVCの仕組み、VCとの違い、CVCのメリット・デメリットなど、詳しく解説します。

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