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デューデリジェンスの基礎知識 押さえておくべき3つのポイント

camera_alt (写真=Tashatuvango/Shutterstock.com)


 M&Aの成否に影響を与える作業として、デューデリジェンス(DD)が上げられる。DDの結果によって買収金額が変化する場合もあれば、ディールブレークも起こり得る。DDは何なのか。また、DDのポイントはどういったものなのか。
 DDの実績が豊富な南青山FAS株式会社が、概要について解説した。(作成:南青山FAS株式会社)
 詳細については、こちらにお問合せ下さい。

デューデリジェンスとは?

デューデリジェンスとは、買収対象となる企業の価値を精査する作業のことである。例えば、財務諸表に記載されている資産や収益の状況が正しいものであるかどうか確認する手続きが該当する。

こうした作業を行うことで、企業の現状における問題点がないかどうかを確認する。もし問題点があれば買収価格を引き下げることにもつながる。見過ごせないような問題点があれば、場合によっては買収自体をとりやめとることもある。このような重要な作業がデューデリジェンスだ。

デューデリジェンスの種類にもよるが、会計事務所、弁護士事務所、M&Aコンサルティング会社などがデューデリジェンスを担当することが一般的だ。

どのような種類があるのか?6種類を紹介

デューデリジェンスにはどのような種類があるのだろうか。こここでは「財務」「税務」「法務」「ビジネス」「人事」「IT」の6種類を紹介しよう。

1. 財務デューデリジェンス
財務・会計的な観点を中心に取引にかかわるリスク要因を特定し、買収先企業の価値判断をすることを目的に実施する。財政状態・損益状況(過去/現在)、将来の損益、資金状況の見通し、簿外債務・偶発債務、システム/管理体制、人件費負担……などの観点から評価を行う。

2. 税務デューデリジェンス
直近の決算書をもとに取引状況などを精査し、過去の申告内容を検証する。そして、税務調査により追徴課税されるような問題点がないかどうかを探っていくことになる。

3. 法務デューデリジェンス
取引先との契約書などで問題がないか確認を行い、法務リスクにかかる調査を行うものである。訴訟されるような問題点がないかどうかを確認し、潜在的なリスクを洗い出すことになる。

4. ビジネスデューデリジェンス
買収対象企業・事業の収益構造の把握、収益源泉の把握を行い、将来の収益力を予測するものである。シナジー効果がどの程度ありそうか、将来性があるかどうかを確認していく。

5. 人事デューデリジェンス
M&Aに伴う人事上のリスクを予見して適正な資産評価を行うものである。合併や買収の場合、その後の組織が文化的な(キャリア・仕事観、ワークスタイルなど)観点で合致するかどうか、未払残業代などの予期せぬ費用の発生はないか、重要人材の流出といった事態を未然に防ぐために、人事領域における調査を行う。

6. ITデューデリジェンス
企業の情報システムの統合等により発生するコストやリスクを評価するものである。システム統合によりシナジー効果がどのぐらい得られそうか、統合せず別々のシステムを利用したらリスクが減るのか、などを検証していくことになる。

デューデリジェンス時の注意点

予算や状況により、すべてを行う場合と、必須といってよい財務だけを行う場合などさまざまである。いずれにおいても注意しなければいけない点が3つある。その3つのポイントとは、「実施時期」と「優先順位」と「依頼先」をどうするかだ。

実施時期が早すぎると、従業員や取引先から不要な憶測が飛び交う可能性がある。そのため、大筋の交渉がまとまるタイミングで実行すべきだといわれている。

優先順位はデューデリジェンスをどこまでやるかということだ。デューデリジェンスをすべて行うに越したことはないが、コストと時間から優先順位をつけ、どこまでをリスクと認識しておくかを考えなければならない。

また、デューデリジェンスの依頼先の検討が必要だ。リスクをいかに洗い出し、問題点にどう対処していくかがデューデリジェンスの要となる。査定が甘いような業者はトラブルのもととなる。そのため、デューデリジェンスの豊富な経験がある専門的な事務所や企業に依頼をすべきといえる。

デューデリジェンスがその後の買収価格の決定や企業の成長を決定づける要素となりうる。そのため、買収を検討する際には最終的なデューデリジェンスの体制まで考えて検討する必要がある。

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