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IPOに係わる関係者と、その選定方法とは?(中編)

camera_alt 寄稿者 Shutterstock_MaximPさん

はじめに

前回の記事(前編)では、IPOに係わる関係者のうち、IPOのプロセスで全般にわたり重要な役割を果たしている監査法人について解説しました。

本記事(中編)では、同じくIPOのプロセスで初期の段階から重要な役割を果たしている証券会社について、その役割と選定方法について詳しく解説します。

証券会社

証券会社とは/IPOにおける証券会社の役割

証券会社とは、有価証券の売買の取り次ぎや引受を行なう会社のことです。

そして監査法人と並び、IPOにおいて証券会社もとても重要な役割を果たしています。

会社がIPOすると、未上場だった株式会社も証券取引所で不特定多数の一般投資家に株式を売却できるようになります。

その際、IPOした上場企業から発行株式を一定数取得(引受)して、国内外の投資家、いわゆる第三者に向けて株式を売り出す機関が証券会社です。

また証券会社が引き受け、保有する発行株式が売れ残っても、その最終責任は証券会社が持ってくれるので、会社としてはリスクを負わず公募売り出しができます。

一方IPOする会社としては、証券会社に対して株式の引受手数料を支払う義務が発生します。

証券会社のうち、主幹事証券会社とは

IPOに係り、上記のような株式の引受業務を行なう証券会社のことを幹事証券会社と呼びます。

また幹事証券会社は、通常、販売リスクを分散するため、複数の証券会社がシンジケート団を組成して、共同で株式引受します。

そしてそのシンジケート団の中で、最も多く株式発行分を引き受け、IPOの様々な場面で主導的役割を果たす証券会社のことを主幹事証券会社(事務幹事証券会社)と呼びます。

また複数の証券会社含む、主幹事証券会社の選定や契約のタイミングですが、通常、IPOの開始時点である申請期の2期前(直前々期)か、可能なら3期前には行なっておくことが適切です。

主幹事証券会社の役割

IPOに関して、監査法人同様、主幹事証券会社の役割は多岐にわたります。

むしろ、主幹事証券会社のIPOまでの申請会社との関わりは、その緊密度の高さにおいて監査法人以上といえるでしょう。

IPOにおける主幹事証券会社の業務は主に以下の5つになります。

・発行株式引受においてシンジケート団での主導的役割

・株式上場に向けての指導助言

・株式上場申請前の証券会社内での引受審査

・IPO全体のスケジュール管理

・発行株式の公開価格の決定

主幹事証券会社として、IPOで申請会社に関わっていくとき、その立場はフェーズに応じて段階的に変化します。

最初は営業部が主に関わり、次に公開引受部、そして最後に引受審査部となります。

引受審査はIPOで証券取引所の本審査の前に行なわれる証券会社による予備審査です。

しかし予備審査といっても、あくまで客観的な立場から審査をする必要があるので、証券会社内での役割の変化は、まさに会社寄りから第三者的にその立ち位置が変化していくときの現象といえるでしょう。

主幹事証券会社の選定方法

次に主幹事証券会社の選び方です。

基本的に組成されたシンジケート団の中から主幹事証券会社を選びますが、主幹事証券会社は必ず1社でなければならないというわけでもありません。

単独主幹事という考え方の他に複数主幹事という考え方もあり、申請会社の株式発行のオファリングサイズ(上場時の公募と売り出しの総額)がたとえば100億円以上などなら、複数主幹事が発行会社にとってメリットが大きい場合もあります。

ただし複数主幹事にもデメリットがあるので、選定の際には証券会社ごとに相見積もりを取って、各社の提案内容を幅広く検討して最終的に主幹事証券会社を決めたらいいでしょう。

なお主幹事証券会社の選定にはこちらの情報も参考になります。

参照先:JPX日本取引所グループ 新規上場基本情報/主幹事候補証券会社一覧

https://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/new/...

次に主幹事証券会社の選ぶときの基準を4点解説します。

IPOの各フェーズ(準備開始~上場申請~上場後)での支援体制は十分か

主幹事証券会社がIPOの各フェーズで申請会社と関わる場面は多々あります。

その際、主幹事証券会社の支援体制が十分であればあるほど、IPOの成功確率は上がりますし、上場後も続く発行株式の販売などにも好影響が及ぶでしょう。

IPOのプロセスで主幹事証券会社が果たす業務は、魅力あるエクィテイストーリーの作成、マーケティング戦略の策定、株式の価値評価、いわゆるバリエーションやオファリングストラクチャーの確定など、盛り沢山です。

主幹事証券会社を選ぶ際には、その証券会社にIPOの支援体制が十分整っているか、きちんと確認しておきましょう。

IPOの主幹事としての取扱い実績は十分か

主幹事証券会社を選ぶ際の2点目の基準は、その証券会社に主幹事としてのIPOの取扱い実績が十分あるか、また申請会社の業務や業界事情に精通したスタッフがいるか、という点です。

これは監査法人で解説した選定基準と原則同じで、そもそも外部関係者にIPOの取扱い実績がそれほどないとか、申請会社に対する深い知識や理解があるスタッフがいないと、IPOの手続きが迅速かつ効率よく進みません。

ある意味、この要件は主幹事証券会社に求められる最低限の条件ともいえます。

この点、大手証券会社は証券業が主たる事業なので、IPO及び証券業務に関する実績やノウハウも豊富です。

他にも主幹事の候補として、メガバンク系証券会社、準大手・中堅証券会社、ネット証券会社などもあります。

これらの証券会社を横断的に比較検討して適切な主幹事証券会社を選びましょう。

株式の募集発行等に対する販売力はあるか

主幹事証券会社(他の幹事証券会社含む)を選ぶ際の3点目の基準は、その証券会社に株式の募集発行に対する販売力が十分あるかという点です。

IPOで申請企業が公に株式発行ができるようになると、国内個人投資家、国内機関投資家、海外機関投資家等に対して株式の販売が可能になります。

その際、どの投資家の範囲まで販売できるかは、まさに主幹事証券会社の販売力の見せ所ですし、主幹事証券会社の販売実績はシンジケート団に参加している他の証券会社の販売実績にも影響してきます。

そういう点からも主幹事証券会社の選定では、過去のIPO案件でどれぐらい株式の販売実績があったか、社内外から得られる情報をしっかりチェックしておきましょう。

各種手数料、特に株式引受手数料は適正か

主幹事証券会社を選ぶ際の4点目の基準は、IPOに係る各種手数料、特に株式引受手数料が適正か、他の証券会社と比べて割高でないかなどをチェックすることです。

証券会社による引受手数料が高いほど、申請企業にとってコスト高になりますし、上場後も証券会社と継続的な取引が続くことを考えれば、引受手数料はできれば低いほどよいわけです。

一般的に証券会社の引受手数料は公募価格の5%~10%なので、相場を知った上で交渉でより低い手数料を提示してくれる証券会社を選ぶようにしましょう。

またIPOで主幹事証券会社に支払う手数料は、引受手数料以外にも、IPOに係る上場準備手数料、上場実現時の成功報酬、IRコンサルティング料などもあります。

これもまた申請会社が支払う費用として、証券会社を選ぶときに横断的にチェックが必要です。

おわりに

IPOに係わる関係者のうち、証券会社、特に主幹事証券会社について、その役割や選定方法を詳しく解説しました。

次回記事では、本シリーズ(後編その1)として、IPO関係者の証券印刷会社、証券代行機関を、(後編その2)として、その他関係者(IPOコンサルタント、顧問弁護士、税理士、社会保険労務士)について詳しく紹介します。


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