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IPO(株式上場)に係る関連当事者との取引や関係会社の整理

camera_alt 寄稿者 Shutterstock_DariaRenさん

はじめに

上場申請企業がIPO(株式上場)をする際、準備すべきことのひとつに関連当事者との取引解消や関係会社の整理があります。

関連当事者や関係会社は、IPOを目指す企業に対して重要な影響力を及ぼすことができる個人や法人であり、上場審査の際には申請企業はその資格を厳しく問われるので、関連当事者との取引解消や関係会社の整理は避けて通れない課題です。

この記事では、関連当事者との取引解消や関係会社の整理についてその概要を解説します。

関連当事者・関係会社とは

関連当事者とは、ある当事者が他の当事者を支配しているか、他の当事者の財務上や業務上の意思決定に対して重要な影響力を有している当事者のことをいい、例えば、上場を予定している企業の主要株主や役員などがこれに当ります。

また関係会社とは、その企業と人的・資本的な関係を強く有すると考えられる会社のことです。

関連当事者や関係会社の定義については、東京証券取引所の「上場審査等に関するガイドライン」で定められており、それを一覧表にまとめると以下のようになります。


参照先:東京証券取引所「上場審査のガイドライン」を参考に加工

https://jpx-gr.info/rule/tosho_regu_20130507004200...

上場申請企業との関係性

補足説明

➀親会社

他の会社等が申請企業の株式(議決権)の過半数(*1)を所有する場合における当該他の会社

➁子会社

申請企業が他の会社等の株式(議決権)の過半数を所有する会社(*1)

➂同一の親会社を持つ会社(兄弟会社)

申請会社が他の会社の子会社である場合における、当該他の会社の子会社

➃その他の関係会社ならびにその親会社及び子会社

上記のいずれでもないが、申請企業が他の会社の関連会社(*2)である場合の当該他の会社等並びにその会社の親会社及び子会社

➄関連会社及びその子会社

株式(議決権)の20%以上50%以下(*2)を保有する会社及びその子会社

➅主要株主及びその近親者(二親等以内の親族 *3)

申請企業の株式(議決権)の10%以上を保有する株主

➆役員及びその近親者(二親等以内の親族 *3)

役員とは、取締役、会計参与、監査役、執行役、またはこれに準ずる者

➇重要な子会社の役員及びその近親者(二親等以内の親族 *3)

➈⑥~⑧の者が所有する会社及びその子会社

⑥~⑧の者が株式(議決権)の過半数(*1)を保有している会社及びその子会社

➉従業員のための企業年金

企業年金と会社の間で掛金の拠出以外の重要な取引を行っている場合に限る

⑪その他の特定の者

関連当事者の範囲に含まれないが、申請企業と人的、資本的な関連を強く有すると考えられる会社や個人

(*1)株式(議決権)の所有割合が50%以下であっても、財務・営業・事業の方針を決定する意思決定機関を支配していると認められる一定の状況がある場合、これらに該当することがあります。

(*2)株式(議決権)の所有割合が20%未満であっても、財務・営業・事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる一定の状況がある場合、これらに該当することがあります。

(*3)二親等以内の親族とは、本人の両親及び祖父母・本人の兄弟姉妹とその配偶者・本人の子とその配偶者・本人の孫とその配偶者・本人の配偶者・配偶者の両親及び祖父母・配偶者の兄弟姉妹のことをいいます。

関連当事者との取引や関係会社を整理する理由

IPO申請前に関連当事者との取引や関係会社をなぜ整理しなければならないかというと、IPOで株式上場を目指す企業の経営を健全に保ち株主の利益を守るためといえます。

関連当事者は企業の意思決定に重要な影響を与えることが可能なので、企業が事業等で大きな利益を得たとき、何らかの名目で会社の利益を自分の利益に付け替えることが可能です。

あるいは代表取締役が自分の所有資産を時価より高く会社に売却して、会社が損をする一方、代表者は個人的な利益を得ることも可能です。

こういう行為もまた、本来株主が配当として得られるはずだった会社の利益を、代表者がその地位を利用して個人に付け替えしていると見なせます。

そのような関連当事者取引を、たとえ合法であっても認めていては、上場申請企業に投資している他の株主、あるいは将来に潜在的投資家が得られるはずの配当利益やキャピタルゲインが関連当事者に奪われることとなり公正とはいえません。

そのためIPOを目指す企業としては、関連当事者取引については株主の利益を損なう可能性が高いものとしてとらえ事前に解消するとともに、同じく利益付け替え等の道具として使われやすい関係会社についても早めに整理しておくべきでしょう。

関連当事者や関係会社等の整理の注意点

では関連当事者との取引解消や関係会社を整理する際、どんな点に注意したらよいか、以下、詳しく解説します。

関連当事者との取引解消

関連当事者との取引は、IPO審査で不利に働く可能性が高いので、原則、上場申請前には全て解消しておくのが望ましいです。

一方で実務的に解消が難しいケースもあるので、その場合は、上場審査でもきちんと説明ができるよう準備をしておく必要があります。

会社の取引条件を関連当事者もそれ以外も同水準に設定するほか、取引が公正に行なわれたことを証明するため、都度、取引条件が書かれた契約書を相互で取り交わして残しておくことが重要です。

また関連当事者との取引は、以下のような点も注意しておきましょう。

たとえば会社に役員個人の資金を貸し付けたり、逆に会社から役員が資金を借りたりしているケースです。

特に後者のケースは、上場審査では不適切と判断されやすいので早めに解消しておくべきです。

そのほか、会社が役員個人の取引の保証人になっているケースも問題です。

この事例も上場審査では不適切と判断されるので早めの解消を目指すべきでしょう。

さらに会社が役員個人の所有する土地を、本社や工場の敷地として借りているケースも問題視されます。

上場審査を受けるような立場の会社が、依然として個人から土地を借りているなど望ましい状態ではないので、利用している土地を早めにその個人から買い取るなどの対策が必要です。

不要な関係会社の整理

IPOの審査を確実に通るため、事前に不要な関係会社を整理しておくのも重要な対策です。

例えば、上場申請企業が子会社を持っているとします。

その子会社が親会社の事業と別の事業を行っているなら特に問題はありません。

しかし問題は、上場申請企業の傘下で、その子会社と同じ地域内に全く同じ事業を行っている別の子会社がある場合や、申請企業の役員やその親族が個人的利益を目的に別の子会社を作っているケースです。

この場合には、IPOの審査で問題視されることが多いので、事前にグループ内で子会社同士を合併させたり、事業譲渡で他社に売却したりするなど、関係会社を整理する対策が必要になります。

また申請企業が大きな黒字を計上しているにも関わらず、継続した赤字状態の子会社を持っている場合も、その子会社の存在理由が不明確として整理することを求められます。

子会社の赤字が親会社の利益を圧迫することで、引いては上場申請企業の株主の利益を損なうことに通じるからです。

おわりに

今回解説した関連当事者との取引の解消や関係会社の整理等については、上記で取り上げた事例以外にも様々なケースや個別の対策があり、全ては取り上げできていません。

しかしIPOの審査では、取引所が時間を掛けて様々な角度から審査をするので、後で指摘を受けて、企業として対策できてなかったでは済まない問題になります。

その結果、審査に落とされたら、再び、時間とコストを掛けて、再点検や対策をする必要に迫られます。

上場審査を確実に通るためにも、IPOに詳しい専門家からサポートを受けて事前に全ての問題点を洗い出し、時間を掛けてしっかり対策しましょう。


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