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IPOスケジュールとその留意点とは

camera_alt 寄稿者 Shutterstock_MaximPさん

はじめに

IPO(株式上場)には上場準備開始から株式の上場日まで一定の期間が必要です。

通常IPOは最初の意思決定から実際の上場まで3年以上の長い時間が掛かります。

それだけにIPOは時間のロスを防ぐためにも、所定のスケジュールに沿って確実に進めていく必要があります。

本記事では、IPOのスケジュールとその具体的内容、留意点など詳しく解説します。

IPOスケジュールとは

IPOスケジュールとは、企業が株式上場を実現するための一連のプロセスをいいます。

通常IPO実現までには3年以上の期間が必要であり、さらにその間、多くの関係者の支援を受けてIPO申請に必要な書類を作成して、諸機関から監査や審査等を受けねばならず、そのためにも早いタイミングから準備を開始しておくことが重要です。

近年日本ではIPOがますます盛んになっており、監査法人のリソース不足からIPOのプロセスで必ず必要な大手監査法人からの監査も受諾してもらえないケースも発生しています。

それだけに経営者がIPOを意識し始めたら、できるだけ早いスタートはIPO成功のための鍵ともいえるでしょう。

IPO実施のスケジュールは、通常、年度単位で4期に区分されます。

その4つの区分とは以下の通りです。

・直前々期以前(N-3期)

・直前々期(N-2期)

・直前期(N-1期)

・申請期(N期)

IPOするまでにやるべきこと

IPOを実施するまでに各期間内でやるべきことを説明します。

直前々期以前(N-3期)

直前々期以前(N-3期)に行なう主な項目は以下の通りです。

・IPOに向けた事業計画及び資本政策の検討

・監査法人の選定

・ショートレビューの実施及び報告書の検討

・プロジェクトチームの設置

・主幹事証券会社の選定

IPOの準備段階では、外部関係者(監査法人・主幹事証券会社等)の選定が必要ですが、外部関係者に協力してもらうためには、まずIPOまでの事業計画・資本政策を検討する必要があります。

事業計画とは、IPOに向けた事業上の目的とそれを達成するための手段を盛り込んだ計画のことであり、資本政策とは、株式公開に向けて、上場までに必要な資金調達、株主構成、創業者利益などのバランスを配慮した新株発行・株式移動等の計画をいいます。

IPOの準備では、次に監査法人(公認会計士)の選定が必要です。

IPOに際して、会社の決算が適正かどうか監査報告書にて監査意見をもらう必要があります。その役割を担うのが監査法人です。

IPOの審査では監査証明が2期(直前期、直前々期)必要なため、遅くても直前々々期の期末までには監査法人を選んでおかねばなりません。

そして監査法人が決まれば、次は監査法人にショートレビューを依頼します。

ショートレビューとは、その会社がIPOに向けて抱えている課題を調査検討して、最終報告書にまとめてもらう一連の作業のことをいいます。

証券取引所は上場しようとする会社に対して審査基準を設けており、この基準をクリアしないとIPOは実施できません。

ショートレビュー報告書は、会社がIPOに向けて解決すべきどんな課題を抱えているのか、会社として事前に把握しておく資料であり、改善策や課題達成の優先順位を早めに明確化しておく必要があります。

その他、直前々期以前(N-3期)には、社内でプロジェクトチームを設置したり、主幹事証券会社を選定したりする手続きがあります。

IPO準備に係る手続きは複雑かつ時間も掛かるため、経営者を含む会社のスタッフが仕事の片手間でできる仕事ではありません。

そのためIPOに向けて、社内で特別にプロジェクトチームを作り専属で作業に従事してもらう必要があります。

またIPOに際して申請会社を支援する業務を行なう証券会社を幹事証券会社といい、通常5社前後は関与します。

またその中で中心的役割を果たす会社を主幹事証券会社と呼び、主幹事証券会社はIPOの準備段階から実施まで、申請会社の重要なパートナーとして関わってくれます。

直前々期(N-2期)

直前々期(N-2期)に行なう主な項目は以下の通りです。

・経営管理体制の整備

・会計監査のスタート

・上場準備会社とサポート先との定期ミーティング

直前々期(N-2期)が来ると、前期までに作成した事業計画及び資本政策、ショートレビューの結果等を基に、いよいよ肉付けの作業に入ります。

まずは経営管理体制の整備に着手します。

ただ1口で経営管理体制といってもその守備範囲は広く、整備するにも時間と手間が掛かります。

プロジェクトチームにしっかり権限と責任を持たせて、ひとつずつ確実に整備していく必要があります。

経営管理体制のうち、利益管理制度の整備では、事業計画書の作成や予算実績管理など、また業務管理制度の整備では、販売・購買管理等の体制構築が必要です。

また組織運営体制の整備では、組織体制、内部監査、稟議制度、社内規定など、広範囲の項目が整備の対象となります。

さらに関係会社の整備では、申請会社の業務に不要な関係会社を整理するほか、申請会社と特別な利害関係を持つ関係者(役員とその親族等)との取引はIPOの審査前には解消しておくべきです。

もちろんIPOの審査で重要な要素を占める会計制度の整備も重要です。

ショートレビューで指摘される不明朗な会計処理があるなら、早めに解決しておくべきでしょう。

また直前々期(N-2期)はIPO審査で重要な項目である会計監査の初年度でもあります。

IPOの審査では直前2期分の監査証明が必要であり、直前期も含めて監査法人による監査が実施されます。

そのためプロジェクトチーム中心に、日々、社内で経営管理体制の整備を行ないつつ、会計面で問題点があれば、監査法人や主幹事証券会社等、外部の専門家とも相談して、ひとつずつ確実に改善・解消していく必要があります。

またそのためには定期的にサポート先とのミーティングを実施して情報共有を行い、必要事項について確実な意思疎通を図っておくべきでしょう。

直前期(N-1期)

直前期(N-1期)に行なう主な項目は以下の通りです。

・経営管理体制の運用

・IPOの申請書類作成

直前期になると、IPOが目前になってくるので、取るべき対策はより具体的になってきます。

直前期は上場に向けたテスト運用期間に位置づけられており、前期までに構築した経営管理体制を1年間通して運用する期間となります。

また監査法人も、前年に引き続き1年に渡り、会計制度が適切に運用されているか、監査を実施します。

また直前期はIPOの申請書類を作成する期間にもなります。

IPOの申請書類は、事業説明書や財務状況・経営成績説明書など、数百ページにも渡る書類であり、作成に膨大な作成時間を要します。

いくら自社内にプロジェクトチームがあっても、単独で全ての書類を作成・準備するのは無理な話です。

そのため、監事会社や主幹事証券会社等に加え、IPOを得意とするコンサルタント会社をチームメンバーに加えていたら、その会社にも協力してもらって申請書類の作成作業を進めるべきでしょう。

申請期(N期)

申請期(N期)に行なう主な項目は以下の通りです。

・主幹事証券会社による引受審査

・証券取引所の審査

申請期においても、経営管理体制の運用、会計監査は継続して行う必要があります。

申請期では、証券取引所の本審査に先だって、主幹事証券会社による引受審査が行なわれます。

上場に先立ち、証券会社として、上場申請企業の株式を引き受けして売り出しできるのか、内部管理体制・予実管理体制等は適切かどうか、など様々な角度から審査されます。

IPOの審査では、まず、この証券会社による引受審査をクリアすることが第一関門となることを経営者は自覚しておきましょう。

そして証券会社による審査が終われば、いよいよ最終的な証券取引所による審査があります。

IPO審査は申請会社が上場予定の取引所に申請することでスタートします。上場申請する取引所によって審査期間は異なりますが2~3ヶ月ほどといわれています。

IPOスケジュールの留意点

最後にIPOスケジュールに沿って留意しておきたい点を2点解説します。

経営者による資本政策の策定

IPOを確実に実現するため、経営者がやるべきことは用意周到に資本政策を準備することです。

IPOの準備は、まずは監査法人によるショートレビューから始まりますが、それはあくまで会社としての話です。

一方経営者がIPOの準備で最初に取り組むのが資本政策で、資金調達、株主構成、そして創業者利益のバランスを考え、スケジュールに沿って具体案を決定しなければなりません。

そして資本政策は一度決めたら後戻りもできないので、時間を掛けてでも起こりうる様々なケースを想定して用意周到に準備する必要があります。

最新のIPOの傾向に注意

もうひとつIPOの留意点は、経営者は最新のIPOの傾向に注視して、いち早く最新情報を手に入れ、それを具体的にIPOの作業に盛り込むことです。

IPOの準備期間は長く掛かるため、これまでの常識で当たり前だったIPOの話が、途中でいつの間にかトレンドが変わって通用しなくなっている可能性もあります。

これではせっかく時間とコストを掛けてIPOの準備をしてもその努力が無駄になってしまいます。

近年は上場審査もより厳格になっているので、現在、何がIPOの審査でより重要視されているか、詳しく内容を知った上で臨機応変に対策しましょう。

おわりに

IPOのスケジュールと年度別の取組項目、留意点など、詳しく解説しました。

IPO(株式上場)は申請企業に、また経営者にとって、経営上、ある意味ひとつの到達点かも知れません。

しかし経営者はそこで手を止めてはなりません。

あくまでIPOは企業成長のスタートラインに過ぎず、IPOの準備開始から上場実現までの期間は会社の成長を加速させるための離陸期間であると理解しておくべきです。

経営者がその考えを持ち続けていれば、IPO後も更に企業の発展伸長が期待できるでしょう。


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