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資本政策とは ? その必要性、考慮する点、手法など

camera_alt 寄稿者 Shutterstock_ZozerEblolaさん

はじめに

資本政策では資金調達、持株比率、創業者利益等の間のバランスが大切です。特に株式上場を目的にIPO(株式公開)を行なうとき、あるいはM&Aで会社・事業を売却するとき、資本政策をどのように行なうか、経営者は会社の将来を見通し、事前に理想とするイメージを持っておかねばなりません。

資本政策なしの場当たり的対応では、その後の経営に大きなダメージを負うリスクもあるからです。本記事では、資本政策の必要性や考慮すべき点、主な手法など詳しく解説します。

資本政策とは

資本政策とは、資金調達等において、会社が株式発行で集める資本と、資本の出資者である株主の構成割合をどうするか、計画及び検討することをいいます。

会社は資金調達で、銀行や公庫等の金融機関から借入れもできますが、株式上場を目指す会社などでは株式を使った資金調達手法がよく取られます。

しかし資金調達を目的に発行した株式を悪意の第三者に持たれてしまうと、会社経営が妨げられる、株式を買戻ししたくても相手の同意が必要なため困難、などの問題点が出てきます。そのようなリスクを避けるためにも最初にきちんとした資本政策が必要です。

どのようなタイミング・手法で、どれぐらい株式を発行・放出して必要な資金を集めるか、その際の株主構成はどうするのか、それらを決めるのが資本政策といえます。

資本政策で考慮するポイント

資本政策で考慮すべき点は主に以下の5つです。

①持株比率を下げすぎない

資本政策においては、株式で資金調達するとき、創業者(経営者)は持株比率を下げすぎないよう配慮する必要があります。

持株比率とは、その会社の株式を保有している割合のことをいいます。普通株式は、保有する1株について1個の議決権(株主総会の投票権)があるので、持株比率が高ければ高いほど会社の意思決定に強い影響を及ぼせます。

しかし会社のオーナーは、保有する株式を投資家等に譲渡してその対価で資金調達するので、オーナーの持株比率が下がり、その比率によってはオーナーの意見が会社の意思決定に反映しにくくなります。

②安定株主を確保しておく

資本政策では、安定株主を確保しておく視点も重要です。

安定株主とは、会社の業績や株価等の動きに関係なく、株式を長期に保有してくれる株主のことを指し、親族、役員や従業員、取引先などがこれに当ります。安定株主を確保しておくことで、経営者は経営権を掌握しつつ会社を円滑に維持運営できます。

安定株主(含むオーナー)の持株比率を2分の1超に維持しておけば株主総会で普通決議ができ、さらに3分の2以上持っていれば特別決議を安定株主だけで決議できます。

③役員・従業員にインセンティブを付与する

資本政策では、役員・従業員にインセンティブを与える施策も考慮しておきましょう。

役員・従業員にインセンティブを付与すると、付与された役員・従業員の働く意欲が向上するほか、株式上場を主眼とした資本政策としても活用できます。

インセンティブ付与の代表的な手法の一つがストック・オプションです。ストック・オプションとは、将来、予め決められた価格(行使価格)で株式を購入できる権利のことをいいます。

この権利を事前に役員や有能な従業員に与えておくことで、モチベーションアップや優秀な人材の確保という効果だけでなく、将来、会社が上場し株価が上昇した後でもストック・オプションの権利行使で時価より安く株式が手に入ります。

そして、株式を時価で売却して得られる金額と取得費との差額が役員・従業員が得られる利益となります。

④創業者利益を想定しておく

創業者利益を想定しておくことも資本政策の重要な検討ポイントです。

創業者利益とは、別名キャピタルゲイン、会社の創業者が保有する自社株を売却・譲渡して得られる利益のことをいいます。創業者が将来IPO(株式公開)やM&Aで保有している株式の売却を考えている場合、どれくらい創業者利益が得られるか、その金額について必ず事前に想定計算をしておく必要があります。

一方、IPOで創業者が大量かつ一度に株式売却すると、オーナーの議決権が大きく低下したり、株価や上場後の経営に大きなダメージを与えたりすることがあります。そのため、資本政策の面では、例えば、上場時、創業者の株式売却を10%以内としておくことで、キャピタルゲインを確保しつつ、同時に経営者として会社の采配に必要な一定の議決権を維持するといったことを考慮する必要があります。

⑤事業承継でも資本政策を意識しておく

資本政策は事業承継対策の面でも十分意識しておく必要があります。

事業承継対策とは、経営している会社や事業を後継者に引継ぐときに、発生する可能性のある事柄を予め予想して対策しておくことをいいます。例えば、承継時の贈与・相続問題や税金のトラブルを未然に防ぐ、あるいは後継者がいない場合、会社・事業を存続させるため第三者に承継するなどの対策です。

事業承継では、必ず経営者の保有する株式の異動が伴うので、誰を会社の承継者とするかの問題とも相伴って、事前に資本政策をしっかり固めておく必要があります。

資本政策の具体的手法

資本政策では使える手法が多くありますが、その中から代表的手法を4つ紹介します。

①第三者割当増資

第三者割当増資とは、特定の第三者に対して新株を引き受ける権利を与える手法です。

ここで特定の第三者とは、自社の役員や金融機関・取引先など、業務を通じて自社と関わりの深い個人や法人が該当します。また第三者割当増資の目的は取引の関係強化、資金調達などです。

ただし、第三者割増増資の結果、発行済株式総数が増えるので、創業者や既存株主の持株比率が下がります。もし、株主比率を変えたくない場合には、資本政策としては、第三者割当増資でなく既存株主に対して持株割合に応じて均等に株式を発行する株主割当増資という手法もあります。

②新株予約権(ストック・オプション)

新株予約権(ストック・オプション)は、一定の期間内に予め会社が決めた株価で株式を購入できる権利のことです。

資本政策として新株予約権を発行する場合、その目的は役員・従業員へのインセンティブ付与、特定の人の持株比率を上げる、資金調達手段として使うなどがあります。ただし、新株予約権付与後にその権利が行使されると、発行済み株式総数が増加して既存株主の持株比率が下がるというデメリットがあります。

そのデメリットも考慮しつつ、誰にどのようなタイミングで新株予約権を付与するか、慎重な判断が必要です。

③種類株式の発行

種類株式の発行も資本政策を行なう際の代表的手法の一つです。

種類株式とは、株主の権利に一切の制限がなく配当や議決権等を平等に付与された普通株式と異なり、行使できる権利の内容が様々に変えられている株式の種類をいいます。

種類株式には会社法で規定されている9つのタイプがあり、種類株式の発行の際には、その権利を単独で、あるいは複数組み合わせて発行が可能です。例えば、種類株式には、配当の優先権や残余財産の分配優先権が付いたものがあり、投資家や購入会社のニーズをより満たした場合に、普通株式より高い株価を付けて株式を購入してもらえる可能性が高くなります。

④従業員持株会

従業員持株会の設置も主たる資本政策の手法の一つです。

会社内に従業員持株会が設置されると、従業員の毎月の給与や賞与から天引きで少額の資金が引き落とされ、その資金で持株会が自社株を購入します。つまり従業員持株会は、加入すれば従業員が自分の資金で容易に自社株式を取得できる方法です。

また従業員が株式を購入する資金には、会社から一定の奨励金が支払われるので、従業員は通常の株価で購入するよりも株式を多く買えるのも魅力です。会社としても従業員に株式を持ってもらえば安定株主対策にもなるのでWin-Winの関係を作ることができます。

おわりに

資本政策は、会社の資金調達を適宜適切に行ないながら、同時に株式を保有する様々なステークホルダーとの関係性を常に良好にしていく施策でもあります。

しっかり資本政策を行ない、安定した会社経営を目指しましょう。


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