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​上場企業による子会社・事業の売却、2年連続で過去最多を更新

camera_alt 寄稿者 Shutterstock_create jobs 51さん

2021年に上場企業が子会社や事業を売却した案件が、2012年以降の10年間で最多となったことが、M&A仲介会社のストライクの集計でわかった。最多更新は2年連続。財務体質の強化や主力事業への資源の集中などが狙いだ。新型コロナウイルスによる景気低迷を受けて、企業の選択と集中が進んだことも事業売却数を押し上げた。

売り手企業はIT・ソフトウエア業界が最多

2021年の上場企業による子会社や事業の売却案件は299件で、過去最高だった前年(285件)を14件上回った。合計の取引金額は3兆6,000億円ほどで、この10年間では前年(4兆9,460億円)には及ばす、こちらはこの10年では2番目の金額となった。1,000億円を超える大型の案件が9件と多かったが、1兆円を超える案件がなかったため、前年よりも1兆3,000億円ほど減少した。

売り手企業の業種を見ると、IT・ソフトウエア業界が40件で最も多く、全体の13.4%を占めた。次いで電気機器、その他サービス、化学、専門商社の順となった。一方、売却の対象となった企業の業種は、トップがその他サービスの51件で、全体の17.1%を占めた。次いでIT・ソフトウエア、化学、電機機器、専門商社の順となっており、売り手企業と同じような業種が上位を占めた。

金額トップは三菱UFJフィナンシャル・グループの8,800億円

取引金額が最も高かったのは三菱UFJフィナンシャル・グループが、傘下の米地銀MUFGユニオンバンク(カリフォルニア州)の全株式を、米地銀最大手のUSバンコープ(ミネソタ州)に売却すると発表した案件で、売却金額は総額80億ドル(約8,800億円)で、このうち55億ドルが現金。残りはUSバンコープの株式2.9%相当を受け取る。米市場で法人取引と投資銀行業務に経営資源を集中するのが目的だ。

金額の2番目は日立製作所が上場子会社の日立金属を売却すると発表した案件。米投資ファンドのベインキャピタルが日立金属にTOB(株式公開買い付け)を実施し、発行済み株式の47%をおよそ4,300億円で買い付け、そのうえで日本産業パートナーズ(東京都千代田区)など日本の投資ファンド2社と組んで、親会社の日立が保有する残る53%の株式を約3,800億円で取得する。日立はグループ事業の再編を進めており、前年は日立化成を昭和電工に売却した。


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