10月のM&A件数~前年同月比5件減
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10月のM&A件数(適時開示ベース)は前年同月比5件減の69件となり、3カ月連続で前年を下回った。1月からの累計では前年を超えるペースを維持しているものの、足元ではやや停滞している。新型コロナウイルス感染拡大を受けて「緊急事態宣言」が出されたことから、対面で買収価格などの事前調整が難しくなったことが悪影響を及ぼしている可能性がある。前月比では8件増えた。
ホームセンター中堅の島忠を巡って買収合戦に発展する様相となった。業界最大手のDCMホールディングスが島忠にTOB(株式公開買い付け)を始めたが、家具業界首位のニトリホールディングスが参戦の意向を表明した。
上場企業に義務付けられる適時開示情報をもとに経営権が移転するM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介のストライク(M&A Online)が集計した。
月間のM&A件数が前年比で3カ月連続してマイナスとなるのは2019年8~10月以来1年ぶり。10月単月を過去10年でみると、今年の69件は3番目で、なお高水準にある。海外案件は15件中、ほぼ半数の売却案件で、不採算の現地事業を切り離す動きが目立った。
10月の取引金額は6505億円。8月、9月と続いた取引金額1兆円を超える超大型M&Aは途切れた。
こうした中、金額トップはNECがスイスの大手金融ソフトウエア企業アバロック・グループを買収する案件。金額は約2360億円。NECが強みとする生体認証、AI(人工知能)、ブロックチェーン(分散型台帳)技術などを組み合わせ、世界的規模で進展する金融DX(デジタルトランスフォーメーション)領域での事業強化を狙いだ。
島忠に対してはDCMが10月初めにTOBを開始した。島忠も賛同するTOBは成立が確実視されていたが、10月末に隣接する家具業界からニトリが対抗TOBに名乗りを上げた。買付価格はDCMを1300円上回る5500円を提示した。ニトリは11月中旬にTOBを始める予定で、買付価格の変更を含めてDCMの今後の出方が注目される。ニトリがTOBに勝利すれば、業界の垣根を崩し、ホームセンター業界再編のきっかけになる可能性もはらんでいる。
10月の主な発表案件
南青山リーダーズ編集部