上場審査基準における形式基準とは?

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はじめに

IPO(新規株式公開)を目指す会社は、IPOを検討するにあたりどの株式市場への上場を目指すかを決める必要があります。各証券取引所は、投資者を保護する観点から上場申請に審査を設けており、その審査には審査基準が定められています。この審査基準は、形式基準と実質基準に大別され、その両方を満たす必要があります。審査対象は、申請会社及びその企業グループであり、子会社及び関連会社も含まれます。

形式基準は、最低限充足すべき定量的な基準です。株主数、上場時公募・売出、流通株式数、流通株式比率、流通株式時価総額、時価総額、事業継続年数、純資産の額、利益の額、監査意見等の基準等が挙げられます。

実質基準は、上場会社として実質的な内容を備えているかの基準です。企業経営基盤の安定性、内部管理体制の整備状況、企業内容等の開示の適正性等が挙げられます。

上場審査基準は、各株式市場により特徴があり、その内容が異なります。IPOを目指すにあたっては、上場審査基準の内容を把握したうえで、企業の規模や成長見込み等を踏まえ、どの株式市場への上場を目指すかを検討することが重要です。

以下では、上場審査基準のうち形式基準について説明いたします。

形式基準とは

各株式市場により必要とされる形式基準の内容は異なりますが、主な審査項目は以下の通りです。

①株主数
 上場時の株主数の見込みです。上場時には基準となる株主数を上回るように公募・売出の数量を決めたり、証券会社が1人あたりの購入株数を調整したりします。

②上場時公募・売出
 上場申請日から上場日の前日までに行う公募もしくは売出のことをいいます。新興企業向け市場では、上場時において一定数の公募・売出が義務付けられています。これにより上場後の株式の流通性が確保されます。

③流通株式数
 流通株式数とは、株式市場において流通性が期待される株式数のことをいいます。これは、発行済み株式総数から、流動性の乏しい株式(上場株式数の10%以上を所有する株主が所有する株式、役員やその近親者等が所有する株式、自己株式等)の数を差し引いて算定します。上場申請日のものではなく、上場日において見込まれる数で判断します。なお、東京証券取引所の市場区分の見直しに際して、流動株式の定義の見直しが予定されています。

④流通株式比率
 ③の流通株式数を上場日において見込まれる申請会社の発行済株式総数で除して算定します。

⑤流通株式時価総額
 ③の流通株式数に株価を乗じて算定します。ここでの株価は、上場時における想定発行価格または想定売出価格に基づきます。

⑥時価総額
 上場株式数に株価(⑤の株価による)を乗じて算定します。

⑦事業継続年数
 上場申請日から起算して一定期間、取締役会を設置し、かつ、継続的に事業活動を行っていることが求められます。

⑧純資産の額
 上場申請日の直前事業年度の末日における純資産額に、上場時の公募で増加が見込まれる純資産の額を加算した額です。連結財務諸表を作成している場合は、連結ベースの純資産額が基準となります。

⑨利益の額
 連結財務諸表を作成している場合は連結ベースの経常損益に非支配株主損益を加減した額であり、連結財務諸表を作成していない期間や連結財務諸表を作成していない場合は単体ベースの経常損益です。なお、市場によっては上記と異なる基準を設けている場合もあります。

⑩財務諸表の監査意見
 上場申請に際して提出する新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)における財務諸表に対する監査意見は、直々前期は無限定適正意見もしくは除外事項を付した限定付適正意見、直前期は無限定適正意見が求められます。(但し、天災等による例外あり。)

東京証券取引所の新規上場における形式基準

新規上場における形式基準について、東京証券取引所ではその主なものは下記のようになっています。各株式市場により、求められる株式の流動性、流通株式比率、時価総額、経営成績・財政状態等の基準が異なります。

なお、2022年4月から移行予定の新市場区分での基準を見据えた、現行制度の基準の見直しが2020年11月に予定されており、現行制度の改正が予定されています。

(上図は東京証券取引所「新市場区分の概要等について」「新規上場等に係る形式基準の改正事項」より南青山リーダーズ編集部作成)


おわりに

形式基準は各株式市場により異なりますので、会社がどの程度の規模や業績見込みであれば、どの市場の形式要件を満たすことができるか前もって把握しておくことが重要です。会社の成長戦略や成長可能性等を踏まえ、上場時にどの程度の規模に成長するかを見通し、会社に適した市場、IPOを目指す市場を検討することが重要です。

南青山リーダーズ編集部

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