【インドネシア】首都、レストランでの飲食に接種を義務化[商業](2021/07/29)
インドネシアの首都ジャカルタ特別州政府は、新型コロナウイルスワクチンの接種などを条件に、州内のレストランやカフェでの店内飲食を認める。中央政府が公布した26日からの行動制限では、店内飲食サービスを提供できるのは定着型屋台「ワルン」や移動式屋台などに限られていた。
28日のコンパス(電子版)によると、ジャカルタ特別州観光・創造経済局は26日付で局長通達『2021年第495号』を公布した。屋外の飲食店に対して、▽従業員と客はワクチンを接種済みであることを証明しなければならない▽収容人数を最大25%に抑える▽客が飲食する時間は20分までとする▽生演奏やDJによる演奏は禁止する▽営業時間は午後8時まで――を条件に店内飲食を認める。屋内にある飲食店については、持ち帰り客のみの対応で営業時間は午後10時までに制限する。
グミラル観光・創造経済局長代理によると、同通達は観光事業登録証を取得している飲食店に適用される。
リアウ諸島州ビンタン県など、他の地域でもワクチン接種を店内飲食の条件とする自治体が出てきている。
■モールも接種義務を検討
インドネシア政府は、ショッピングモールの入場にもワクチン接種を義務化することを検討している。感染リスクを抑えつつ営業を再開する動きに経済界は賛同を示す一方、大半の地域でワクチン接種が十分に進んでいないことから反対する声もある。
アイルランガ調整相(経済担当)は25日、スマホ用アプリ「プドゥリリンドゥンギ(PeduliLindungi)」のワクチン接種の記録管理ツールを利用して、モールの入場者をスクリーニングする考えを示していた。
28日付コンタンによると、インドネシア商工会議所(カディン)のアルシャド・ラシッド会頭は、モールが通常営業を再開する場合はワクチンの接種記録の提示を義務付けるべきだと説明した。インドネシア・ショッピングセンター経営者協会(APPBI)のアルフォンズ会長も「人々にワクチン接種を促すことができる」と前向きな姿勢を見せた。
一方で行政監視機関オンブズマンのインドラザ氏は、ワクチンの供給には格差が生じており、接種を絶対条件にすると差別につながる可能性があるとして、例外措置を設ける必要があると指摘した。インドネシア消費者協会(YLKI)のスダルヤトモ氏は「ワクチンを接種条件にするのは、2回目の接種完了の進捗(しんちょく)率が50%を超えてからにすべきだ」と話した。
保健省によると、28日時点で2回目の接種の進捗率は国内全体で9%。ジャカルタ特別州やバリ州は25日までに20%を超えたものの、北マルク州や西スマトラ州、ランプン州では5%未満にとどまるなど地域によって差が開いている。