【ミャンマー】感染者の受け入れ拒否続出、医師が足りず[医薬](2021/07/15)
ミャンマーで新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、病院で受け入れを拒否され、適切な医療を受けられない感染者が続出している。国軍に反発する医療従事者の多くが職務を放棄する市民不服従運動(CDM)に参加し、医療機関が人手不足に陥っているためだ。
13日付イレブン電子版によると、最大都市ヤンゴンの退役軍人(59)の男性は、5日に新型コロナの症状が出たため、親族とともに現地の病院を訪れたが、受け入れを断られた。別の病院での検査で、男性と付き添っていた6人の親族全員の感染が発覚したが、入院できたのは男性のみだったという。この男性は翌日に死亡した。
ロイター通信によると、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)のミャンマー責任者は、「過去数週間での感染拡大により、多くの人が医療を受けられず、深刻な事態を招いている」と指摘。依然として多くの医療従事者がCDMに参加していることが、人手不足の要因になっているとした。
西ヤンゴン総合病院では、医療従事者400人のうち、職場に戻っているのは40人にとどまっている。一部のCDMに参加している医師は、電話で秘密裏に新型コロナ患者の診療を行っているという。
国軍のゾー・ミン・トゥン報道官は12日の記者会見で、「病院や隔離施設は新規の感染者を受け入れられない状態だ」と認め、民間団体などに医療サービスの提供に関する協力を要請した。国軍関係者によると、国軍系の病院を一般市民にも開放している。
ただ、一般市民の軍政への不信は消えない。新型コロナに感染した疑いのある女性(23)は、隔離施設に行く代わりに、自宅療養することに決めた。女性は「軍政が運営する医療システムへの信頼は0%だ」とコメント。「隔離施設では誰にも治療してもらえない。緊急時にも助けてもらえない」と話した。