【韓国】LG化学、電池素材などに10兆ウォン投資[化学](2021/07/15)
韓国化学大手のLG化学は14日、「ESG(環境・社会・企業統治)」経営を基盤とした事業ポートフォリオへの転換を宣言した。それとともに電池素材に6兆ウォン(約5,800億円)、エコ素材に3兆ウォン、革新的な新薬に1兆ウォンなど、2025年までに合計10兆ウォンを投じると発表した。10兆ウォンのうち60%は韓国国内に、40%を海外に振り分ける計画だ。
電池素材分野では、正極材から分離膜、負極用バインダー、放熱接着剤、カーボンナノチューブ(CNT)まで幅広く育成していく。
正極材事業については、世界市場の先取りを目標に年産6万トン規模の亀尾工場(慶尚北道亀尾市)を今年12月に着工する予定。完成すれば、他の増強も含めたLG化学の正極材生産能力は昨年の年4万トンから26年には26万トンに増強される。
このほか、分離膜事業の競争力強化に向けて、高い技術力を持つ企業を対象にした合併・買収(M&A)を検討している。世界での生産拠点拡充にも力を入れる。CNTの生産能力も、現在の年1,700トンから25年までに3倍以上に増強する計画だ。
3兆ウォンが投入されるエコ素材事業は、バイオ素材やリサイクルなどの育成に力を入れる。まずは廃食用油やパーム油など再生可能な植物性原料を使った高吸水性樹脂(SAP)「Bio―SAP」製品の生産を今月から本格化する。
ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)事業では、M&Aなどを通じて外部の技術を積極的に導入するのと並行し、今年中に生産設備の建設にも着手する計画だ。LG化学は「バイオプラスチック市場は昨年の12兆ウォン規模から25年には31兆ウォン規模に急成長が見込まれる。エコ原料の安定的な確保に向けて、国内外の原料企業との合弁なども積極的に検討中だ」と説明する。
生命科学事業は、30年までに革新的な新薬を2つ以上保有する世界的な新薬開発企業への成長を目指すとともに、米国や欧州などへの進出も模索する。
LG化学の辛学喆(シン・ハクチョル)副会長は「急速な市場の変化に対応するため、ESGを基盤にした事業のポートフォリオ転換は欠かせない。現在は、(ポートフォリオ転換に向けて)30件以上のM&Aや合弁を検討している」と述べた。