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【ベトナム】HCM周辺で相次ぎ生産停止[経済](2021/07/14)

ベトナム南部ホーチミン市や周辺省で企業が相次ぎ生産の一時停止に追い込まれている。複数の従業員の感染確認により同じ職場の従業員全員が自宅などでの隔離を求められたり、同市が9日から事実上のロックダウン(都市封鎖)に踏み切り、省市間の移動が制限されたことで、従業員の通勤が困難になったためだ。同市周辺で13日までに生産を停止した企業の中には、非鉄金属やミシンメーカーなど大手日系企業の系列工場が複数含まれている。

ホーチミン市で最大規模の工場とされる台湾・宝成工業の製靴工場でも従業員1万数千人が通勤できなくなり、生産に影響が出ているもようだ(同工場の公式フェイスブックから引用)

ホーチミン市で最大規模の工場とされる台湾・宝成工業の製靴工場でも従業員1万数千人が通勤できなくなり、生産に影響が出ているもようだ(同工場の公式フェイスブックから引用)

ホーチミン市7区にある輸出加工区タントゥアン工業団地では、約250社の入居企業のうち、少なくとも30社前後が12日から生産を停止したもようだ。

同工業団地で5工場を運営する日系非鉄金属大手の現地子会社によると、同社では5カ所ある工場のうち4工場が12日から生産を停止した。

関係者によると、ホーチミン市当局から11日、「翌12日午前0時以降の工場閉鎖」を指示する連絡があり、受け入れた。閉鎖期間や指示に対する詳細な理由の説明はなかったという。

同社の工場では日本から原材料を輸入し、加工製品を日本に再輸出している。関係者はNNAの取材に対し「従業員の安全には最大限配慮しつつ、1日も早く生産を再開できるよう関係当局などとの対応に当たっている」と現状を説明した。ただ、すでにサプライチェーン(調達・供給網)にも影響が出かねない状況になっているといい、生産停止が長引くことに不安をのぞかせた。

同工業団地で工業用ミシンなどを生産する日系大手メーカーの現地法人も12日までに工場を一時封鎖した。NNA編集部員は13日、状況確認のため同工場に複数回電話を掛けたが、つながらなかった。東京都内にある同社本社の担当者は電子メールでの問い合わせに「回答を控えさせていただく」と状況確認を避けた。

ホーチミン市衛生局のグエン・ホアイ・ナム次長は12日午後記者会見し、同工業団地で一斉に実施した新型コロナウイルスの簡易検査の結果、275人が陽性となり、現在、追跡調査を進めていることを明らかにした。同市疾病管理センターのグエン・ホン・タム次長によると、タントゥアン工業団地では感染状況がさらに悪化する恐れがあり、(工業団地を管轄する)7区人民委員会に対し工業団地の(企業の)運営を停止し、これ以上の感染拡大を早急に抑制することを求めた。

同工業団地に拠点を置く日系企業関係者は13日、NNAの取材に対し「団地内の企業はほとんど封鎖されており、生産を止めた企業は30社にはとどまらないだろう」と語った。

■工場への通勤が困難に

ホーチミン市は9日から、最も厳格な首相指示16号(16/CT―TTg)に基づく社会隔離措置を実施している。生活必需品などを運ぶ運送業者や医療関係者などを除き、原則的に周辺省との往来ができなくなっているほか、市内でも行政区をまたぐ移動の際には新型コロナ検査での陰性証明書提示が求められるなど、厳しい制限下に置かれている。このため、特定の工業団地以外にある企業の活動にも大きな影響が出ている。

VNエクスプレスなど複数の地元メディアによると、同市ビンタン区にある台湾の製靴受託世界大手、宝成工業の現地法人「ポウユエン・ベトナム(Pouyuen Vietnam)」の工場では12日、およそ5万6,000人の従業員のうち、約3万3,000人の従業員が出社できず、生産が事実上ストップした。

同社労働組合のク・パット・ニャット委員長によると、工場には、近接するロンアン、ティエンザン、ベンチェの各省から計1万3,500人がシャトルバスで通勤している。しかし、同日以降、各省が実施した規制でホーチミン市から移動する人に陰性証明の提示や自宅隔離が求められるため、通勤ができなくなったという。

同社ではこれとは別に、今月4日までに35人の感染が確認された。このため、同じ職場にいるなどして「濃厚接触者」と認定され、当局から自宅隔離を求められた従業員が約2万人おり、いずれも出社ができなくなっているという。

宝成工業はナイキ、アディダス、リーボックなど世界的なスポーツシューズブランド向けの靴生産を担う世界最大手。ホーチミン市内の従業員数は5万6,000人で、同市では最多の従業員数を抱えている。ただ、ベトナムの信用調査会社ベトナムクレジットによると、新型コロナによる影響を受けて、こうしたシューズブランドからの受注は大幅に減少しているという。

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