【インドネシア】感染流行国からの渡航厳格化[社会](2021/06/07)

インドネシア政府は新型コロナウイルス感染症対策として、一部の国からの渡航者に対する隔離義務期間を、現行の5日間から14日間に延長することを検討している。アジアの一部などで新型コロナの感染が再び拡大していることから水際対策を強化する。近く正式な決定を下すとしている。
新型コロナ緊急対策本部(タスクフォース)のウィク報道官は4日のオンライン会見で、感染が流行している国からの渡航者の隔離期間の延長を計画していると説明した。「まもなく公布する回状に盛り込む」と述べたが、具体的な時期や国名などは明らかにしなかった。6日夕方時点で新たな回状は公表されていない。
地元各メディアによると、新型コロナ対策・国家経済回復委員会のスシウィジョノ秘書官(経済調整省)は5日、現時点で14日間の隔離を義務付けているのはインドからの渡航者のみだと発表した。保健省疾病予防管理局が先に、パキスタンとフィリピンからの渡航者の隔離期間も14日間に延長したと説明していたが、これを否定した形だ。政府は4月下旬、感染が急拡大していたインドからの入国規制厳格化に踏み切った。
現在、海外から帰国するインドネシア人は指定隔離施設やホテルで政府負担による5日間の隔離が、外国人は指定ホテルで自主負担による隔離が義務付けられている。また、5日間を含めた入国後14日間の自主隔離を推奨している。在インドネシア日本大使館によると、5月25日時点でジャカルタ首都圏の44軒のホテルが隔離先として指定されている。
隔離ホテルの手配代行など渡航支援サービスを提供している日本旅行インドネシア(ジャバト・インターナショナル)の臼井太一社長は6日、NNAに対して「ほとんどの隔離対応ホテルは14日間の隔離にも対応できるだろうが、(インドネシアに渡航する邦人は)万が一、日本からの渡航者の隔離期間が延長になった場合に備えて情報収集を怠らないでほしい」と話した。
■在外インドネシア人の帰国支援も
政府は感染が再び拡大している国からの水際対策を強化しつつ、当該国在住のインドネシア人の帰国支援を計画している。ウィク報道官は4日、マレーシア政府と協力して同国在住のインドネシア人を段階的に避難させる計画だと説明した。
マレーシアは5月中旬のイスラム教徒の祭典ハリラヤ・プアサ(断食明け大祭)が引き金となって新規感染者が急増、今月1日に全土のロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。地元メディアによると、海外労働者保護庁(BP2MI)のベニー長官は5月15日、6月中に3万4,300人の在外出稼ぎインドネシア人が帰国する予定で、うち1万3,074人がマレーシア在住だと明らかにしていた。2020年1月以降に帰国した出稼ぎインドネシア人は13万人だった。
インドネシアでも断食明け大祭(レバラン)後の感染拡大が懸念されている。ウィク報道官は、特に中ジャワ州では5月第2週の感染者数が、前週比で51%増加したと指摘。同州の1日当たりの新規感染者は5月29日に1,050人を記録、約3カ月ぶりに1,000人を超えた。一方で国内全体の新規感染者数でみると、5月は1日平均4,946人と、前月から5%減少した。ウィク報道官は、6月中旬~下旬まで感染者数が増加する可能性があると予測している。