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【韓国】7月からマスク義務緩和へ[社会](2021/05/27)

韓国政府は26日、新型コロナウイルスのワクチン接種の本格化に伴い、規制措置を段階的に緩和する方針を明らかにした。現在は8人以内に限定されている家族の集まりについて6月から人数制限をなくすほか、7月からは2回目のワクチン接種が完了した人を対象に屋外でのマスク着用義務を解除する。新型コロナの感染リスクが依然と残っているものの、政府はインセンティブの提示でワクチン接種を促したい考えだ。

マスクを着用せずに屋外を出歩ける日常の回復には、ワクチン接種が順調に進むかどうかにかかっている=韓国・ソウル(NNA撮影)

マスクを着用せずに屋外を出歩ける日常の回復には、ワクチン接種が順調に進むかどうかにかかっている=韓国・ソウル(NNA撮影)

韓国で1回目のワクチン接種を終えた人は、26日午前0時時点で累計394万2,775人となった。韓国政府は6月末までに1,300万人の1回目の接種完了を目指す一方、これを前提とした3段階の「防疫措置緩和策」を打ち出した。停滞していたワクチン供給が再開されて目標達成にもめどが立ったことで、「日常」に戻るための具体的な動きに着手した格好だ。

まず1段階として、60歳以上の高齢者への接種が本格化する6月1日から、接種完了者(1回目のみも含む)を対象に「家族の集まり」規制を一部緩和する。現行は「直系家族」(配偶者や子ども、祖父母、父母など)に限り8人までの集まりが認められているが、接種完了者はこの制限の適用外とする。

7月から施行される2段階では、2回目のワクチン接種も終えた人について、現在は「5人未満」とされている私的な集まりの人数制限を撤廃。10月以降の3段階では、新型コロナ感染症の警戒レベルによる規制全般についても、ワクチン接種者は適用対象外とする方針だ。

■1年ぶり「マスクなし」へ前進

とりわけ政府の発表で目を引くのは、2段階に含まれた「マスク着用義務の緩和」だ。韓国では昨年5月中旬からバスや地下鉄など公共交通機関の利用時に、同年8月からは京畿道やソウル市など首都圏でも屋内外のマスク着用が義務付けられた。その後は全国的に義務化され、マスクは外出時の必需品となっている。

ワクチン接種完了者(1回目の接種者含む)は7月以降、屋外でのマスク着用義務が解除される。ただ、屋外であっても大勢が集まる集会やイベントではマスクを着用しなければならず、レストランやカフェなど屋内での着用義務は継続するが、マスクなしの暮らしに戻る第一歩となりそうだ。

■接種完了者にインセンティブ

韓国政府はワクチン接種への国民の参加率を上げるため、接種完了者に対して公共施設の入場料や利用料の割引・免除といったインセンティブも提供することを決めた。全国の国立公園や国立の生態公園、景福宮などの古宮や王陵などが対象となる。

このほか、テンプルステイの割引参加権や古宮をはじめとする文化財の特別観覧権など、ワクチン接種を終えた人のみが享受できるさまざまな特典を準備する考え。地方自治体や民間企業とも協議し、公共施設・公園以外でのインセンティブ導入も進めていく方針だ。

■変異株の感染増など不安も

一方で、マスク未着用の外出許可などに対して不安を覚える人もいる。このほど1回目のワクチン接種を受けた高齢者介護職の50代の女性は、NNAに対し「ワクチン接種の奨励という点は共感するが、感染者が減っていないのにマスク着用義務の緩和は時期尚早ではないか」と疑問を呈した。

実際、26日の全国の新規感染者は12日ぶりに700人を上回っており、変異株の感染例も相次いでいる。済州道では25日、変異株への感染者が30人確認された。大部分が英国由来の変異株で、このうち20人は道内にある大学の運動部所属の学生だった。

2段階では、1回目のみを含むワクチン接種完了者による宗教活動も自由に行えるようになるが、韓国では依然として宗教団体での集団感染が多く確認されており、感染再拡大の引き金になるのではないかとの懸念も根強い。

金富謙(キム・ブギョム)首相は26日、「本日発表した対策だけでなく、追加の緩和策を適宜試行していく」としながらも、「緊張を緩めれば、再び大流行が起きる可能性はある」とし、感染への警戒を怠らないよう呼び掛けた。韓国政府には、実際のワクチン接種の進捗(しんちょく)度と感染状況を見極めた柔軟な対応が求められる。

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