【台湾】第3級を6月14日まで延長[社会](2021/05/26)
台湾衛生福利部(衛生省)中央流行疫情指揮中心の陳時中指揮官は25日、現在全域で第3級としている新型コロナウイルス感染症の警戒レベル(第1級が最も緩く、第4級が最も厳格)の期限を当初予定の28日から延長し、6月14日までにすると発表した。域内の感染状況は劇的に悪化してはいないものの、依然として陽性率は高く、隠れた感染の連鎖を断ち切れていない懸念があるとして判断した。一方、現時点で第4級に引き上げる考えはないと説明した。
陳氏は、現在の感染者数と検査スピードから「各地の陽性率は依然として高い」と指摘。感染者の発症から確認までの日数も長く、未確認のままとなっている感染者が家庭内や地域で感染を広げることに懸念があるとした上で「第3級を28日に解除することはできない」と説明した。判断に当たっては、措置を緩めるべきではないとする専門家の意見も参考にした。
一方で「現時点で感染状況に急激な悪化はみられない」とも強調。第3級の措置に効果があるとの見方も示し、第4級へ引き上げる考えがないと話した。
現在確認している域内感染者の発症日は17日が最も多く、18日以降の発症は減少傾向にあることも判断材料とした。
第3級では室内5人以上、屋外10人以上の集まりを禁止しているほか、外出時は常にマスクの着用を義務付けている。今後はこうした措置に感染状況改善の効果があるかどうかを注視していく考え。
第3級の期限延長に伴い、全域の幼稚園や小中学校、高校で実施している休校措置も6月14日まで延長する。学校はオンライン授業などを引き続き行う。
12歳以下の子女または心身の障害がある子どもを持つ保護者は休暇の申請ができる。家庭でオンライン学習ができない子どもについては登園、登校を許可する。
幼稚園、小中学校、高校の卒業式は中止またはオンラインでの開催を求める。小中学校、高校の卒業試験は「多様な方式」での実施を促した。
聯合報によると、台北市の柯文哲市長は休校の延長について「足元の感染状況では妥当な措置だ」と理解を示した。一方で、「いつまで休校措置が続くのか予想するのは難しい」とも述べ、先行きに懸念を表した。
出勤停止措置が必要かどうかについては明言せず、企業の自発的な在宅勤務に期待する考えを示した。
一方で、感染者が集中している新北市の侯友宜市長は中央政府に対し「必要な時には出勤停止措置を発令してほしい」と要望した。同市では25日も154人の感染者が確認され、全体の半数を超えた。
第3級の延長を受け、台湾マクドナルドは店内飲食の禁止措置を6月14日まで継続すると発表した。財政部(財務省)は、全域の国税局で6月14日まで窓口での所得税納税手続きを停止すると発表した。
■6月にワクチン200万回分到着へ
中央通信社によると、陳氏は同日、新型コロナウイルスのワクチン200万回分が6月に台湾に到着すると明らかにした。
陳氏はワクチンのメーカーについて「各方面が圧力を受けている。供給に影響が出ないためにも、明らかにすることはできない」と述べた。
8月には台湾製を含む1,000万回分が確保できる見通しという。
台湾政府がこれまでに確保したワクチンは英アストラゼネカ製が約70万回分と、単純計算で全人口の1.5%分程度にとどまる。政府は域内で感染が急拡大する中、追加確保を急いでいる。