【ベトナム】ワクチン目的の米国ツアーを企画、地場旅行社[観光](2021/05/24)
新型コロナウイルスワクチンの普及が遅れるベトナムの地場旅行会社に、米国でワクチンを接種するためのツアーを企画する動きが出ているようだ。
台湾の中央通信社が22日、ベトナムのネットニュースメディア「VNエクスプレス」を引用して伝えた報道によれば、ホーチミン市の旅行社が今月17日、ワクチン接種を目的にした米国ツアーを売り出した。販売価格は4,499万ドン(約21万円)で、ホーチミンから米国までの片道航空券、三つ星ホテルの8日間の宿泊費、米ジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチン1回分が含まれる。現地のガイドがワクチン接種の予約を手配し、接種にも付き添うという。
この旅行社の社員は「ツアーの対象に想定している顧客は、家族を訪ねたり、ワクチン接種のために短期の訪米を予定している高所得者層だ」と話した。実際、ツアーの料金には米国からベトナムへの復路航空券代、帰国後に強制隔離を受ける21日間のホテル費用、PCR検査費などは含まれていない。これらを含めると、ワクチンのための1回の旅行費用の総額は1億7,000万ドン(約80万円)程度が見込まれるという。
地場大手旅行代理店フィディツアー・トラベル(Fiditour Travel)の幹部バオ・トゥ氏も同様のツアーを検討し、現地パートナーと協議中だと述べ、「日程の詳細を5月下旬に発表する」と明らかにした。
現在、ベトナムと米国間では通常の商業運航は止まっており、ビジネス客と米国在留ベトナム人の帰国を目的としたチャーター便のみが運航されている。ワクチン接種を目的とした旅行者が、実際に帰国便を予約できるかどうかは定かでない。
ベトナム観光協会のブー・テー・ビン副会長はこうした旅行業者の動きについて「今のところ、この種のツアーを企画すること自体は禁じられていないが、帰国時には規定に基づく隔離が必要で、ワクチンパスポートの制度もまだ実施されていない。旅行業者はこうした規定や、ベトナム政府が米国製ワクチンを認めるかどうかといった情報をきちんと顧客に伝えるベきだ」とクギを刺した。