【日本】印・東南アで感染が再拡大[経済](2021/05/06)

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インドや東南アジアで、新型コロナウイルスの感染が再拡大している。インドで1日当たり40万人近い陽性者が確認されているほか、マレーシアやタイ、カンボジア、ラオスでも感染者が急増している。各国で変異株への感染確認が相次ぎ、警戒を高めた政府が相次ぎ行動制限を強化している。コロナ禍の長期化で、アジア新興国の景気回復ペースが鈍るリスクが出てきた。

英オックスフォード大学の研究者などでつくる「アワ・ワールド・イン・データ」によれば、仏暦の正月休暇中の4月12日から、3週間後の5月3日までで、1日の新規感染者数(7日間平均)はラオスで176.4倍、カンボジアで2.7倍に急増した。両国政府は4月中旬に首都のロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。その後、カンボジアはロックダウンを解除したが、ラオスは全土に対象を広げた。休暇前から感染が拡大していたタイでは3.2倍に増えた。

国境を接するタイとカンボジア、ラオスの3カ国は、感染拡大の時期が重なる。まず2月にカンボジアで英国型変異株が確認され、感染者が急増した。3月下旬からクラスター(感染者集団)が相次いだタイでは、カンボジアから流入した英国型がバンコクの娯楽施設で広がった可能性が指摘されている。ラオスでは、4月6日にタイから不法入国した男女3人から感染が拡大したとされる。3月末時点で累計50人弱だった感染者は、足元で1,000人を超えた。

インドの1日の新規感染者は、3週間で2.6倍に増えた。5月3日は人口100万人当たりで274人が新たに感染。世界最悪のペースで感染拡大が進んでおり、大規模イベントの開催のほか、二重変異株のまん延が原因と指摘されている。

マレーシアでも同期間に新規感染者は2.1倍となり、1日に3,000人を超えた。100万人当たりでは96人と、東南アジア域内で最も多い。域内ではシンガポール、インドネシア、フィリピンを除く全ての主要国で、深刻さは異なるが感染拡大のペースが大幅に加速した。

■酸素やICU病床が不足

感染者の急増で、インドのデリー首都圏では医療体制が事実上崩壊しつつある。首都圏政府によると、3日時点で集中治療室(ICU)の使用率は99.5%。医療用酸素の不足も深刻で、4月下旬には私立病院で酸素の到着が遅れ、20人以上が死亡したことが明らかになった。

タイ・メディアによれば、バンコク首都圏でのICUの病床使用率は4月末時点で80%。英国型変異株での死者は100人を超え、累計死者数の約半数を占めるとされる。「英国型は重篤化しやすく、症状が急変して死に至るケースが多い」――。タイ政府報道官は、警戒を呼び掛ける。

■店内飲食の禁止など広がる

各国政府は、対策に追われている。インドは首都圏のロックダウンを5月10日まで延長。新たにロックダウンを始めた地方の州もある。

タイでは、バンコクなど6都県で1日からレストランでの店内飲食を禁止。商業施設も営業時間を短縮した。マレーシアでは、首都クアラルンプールなどの活動制限が厳格化される。クアラルンプールでは、7日から店内飲食が禁止。周辺地域との移動も規制される。

本格的な感染拡大に至っていない周辺国も、規制強化に乗り出した。ベトナムでは、4月末から北部を中心に新たな市中感染が確認されたことを受け、首都ハノイ市で路上の飲食店の営業や学校の登校を一時停止。ハノイ市当局は、連休明けに行楽地などから戻った市民からの感染拡大に神経をとがらせている。中部ダナン市も営業規制を強化した。

シンガポールでは4月29日、約9カ月ぶりに10人を超える市中感染を確認。翌30日、人の集まりの規制や商業施設の収容制限にかじを切った。8日からは、職場に同時に出社する従業員の上限を75%から50%に引き下げる。

感染の再拡大で、コロナ禍からの景気回復が遅れる恐れが出てきた。格付け世界大手のS&Pグローバル・レーティングは4月末、インドの2021/22年度(21年4月~22年3月)の経済成長率を、「広範な感染封じ込め策が再び導入された場合、従来予想の11%から引き下げる可能性がある」と指摘した。

バンコク中心部の商業施設。外出抑制で客足はまばらだ=2日(NNA)

バンコク中心部の商業施設。外出抑制で客足はまばらだ=2日(NNA)

コロナ前は観光客で賑わっていたバンコク中心部の商業施設は、5月初頭の4連休中も客足はまばら。周辺で居酒屋を経営する日本人男性は「売り上げは通常の2割。厳しい」と嘆く。タイ財務省は4月末、21年の経済成長率見通しを従来予測から0.5ポイント低い2.3%に引き下げた。

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