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【香港】20年は全ネット銀が赤字、事業モデル転換へ[金融](2021/05/04)

昨年正式開業したインターネット専業銀行の2020年通期決算報告が4月末までに出そろった。開業したてとあって8行全てが赤字となり、赤字合計は24億HKドル(約340億円)に及んだ。各行は手数料収入獲得に向けたビジネスモデル展開に動き出している。3日付明報が伝えた。

最大の赤字を出したのは、英系スタンダード・チャータード銀行(香港)が主導するMox(モックス)バンク(4億5,600万HKドル)。次いで、中国銀行系の中銀香港などが出資するリビバンク(4億3,800万HKドル)となった。いずれも事業開始時にリテールバンキングの展開を推進したことでコストがかさんだとみられる。

中国本土のネット専業保険大手、衆安在線財産保険などが主導する衆安銀行(ZAバンク)も3億5,100万HKドルの赤字だった。

ただ、一定の預金額を獲得したネット銀各行はビジネスモデルの転換に動き出した。

ZAバンクは最初期に開業し年利最高6.8%の定期預金で集客を狙い、昨年末で60億HKドル超と8行中最大の預金規模を誇る。同行は一定の預金額と顧客基盤を固めたことで顧客集めから方向転換し、法人から個人に及ぶ融資業務の拡大に乗り出した。

一方、預金総額第2位(約52億HKドル)のMoxバンクは、クレジットカードの取り扱いを開始。将来的には資産管理業務の展開などを計画している。

業界関係者は、ネット銀にとって、顧客基盤獲得後の手数料業務の拡大が収益の鍵だと指摘。融資業務を拡大させるネット銀がある一方、本土保険大手の中国平安保険傘下の平安壱チョウ通銀行(チョウ=貝へんに長、PAOバンク)や、本土金融会社のアント・グループ全額出資のアント・バンクなど本土系銀行は、本土客をメイン顧客として発展する可能性が高いという。同関係者は、今年はネット銀の融資獲得合戦が過熱すると見通した。

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