【台湾】ワクチン接種者の隔離短縮へ[社会](2021/04/28)
台湾衛生福利部(衛生省)の中央流行疫情指揮中心は、新型コロナウイルスワクチンの接種者を対象に、早ければ5月中旬にも入境後の隔離期間短縮を条件付きで認めると明らかにした。現在の原則14日間から7日間に短縮し、台湾と他国・地域を往来するハードルは下がることになる。ただ、初期段階では1日当たり最大100人に適用を限定する方針で、ワクチン接種を終えていても短縮されない可能性がある。
同中心が26日の記者会見で明らかにした。27日付聯合報などによると、条件は4つあり◇ワクチンを2回接種した後、1カ月を経ていること◇入境前のPCR検査で陰性結果を取得すること◇入境後の抗体検査で「抗体あり」の結果を取得すること◇入境後7日目のPCR検査で陰性結果を取得すること――となっている。
同中心の陳時中指揮官は、国際的にワクチンの効力を承認する方法が確立されていないとして、「各条件の中でも入境後の抗体検査が重要になる」との考えを示した。具体的な抗体検査の方法などは今後詰める。検査で抗体が確認されれば、接種するワクチンのメーカーは問わないとした。
陳指揮官は「初期段階では、国・地域に関する制限を設けない」とも表明。現在の居住地がどこかにかかわらず、隔離期間を短縮できる可能性がある。
■入境者の一部のみに適用
一方、同中心は初期段階では隔離期間短縮措置の適用を1日当たり最大100人にとどめる方針を示した。
台湾交通部(交通省)観光局によると、直近の台湾の入境者は毎月1万4,000~1万9,000人。1日当たり400~700人が入境していることになり、初期段階では四つの条件を満たしていても隔離短縮を認められない可能性がある。
ただ、コロナが沈静化している国・地域から入境する場合は、既存の措置で短縮も可能。同中心は現在、各国・地域の感染リスクを各等級に分けている。このうち、一定の条件下で「低感染リスク国家・地域」からの訪台者は最短5日に、「中低感染リスク国家・地域」からは最短7日にそれぞれ短縮できる。
■日本人の対象者はごくわずか
日本在住者にとっては隔離期間短縮の手段が増えると言える。同中心は昨年8月、日本での感染拡大を理由に日本を中低感染リスク国家・地域から除外し、それ以来、日本はリスト入りを果たせておらず、入境者には原則14日間の隔離が義務付けられている。
だが日本では、肝心のワクチン接種が他国・地域に比べて遅れているのが現状だ。日本は現在、主に医療従事者と65歳以上の高齢者にワクチン接種を進めている段階。うち高齢者はまだ1回目の接種に入ったばかり。現時点で、台湾政府の条件を満たす日本在住者はごく少数に限られる。