【ミャンマー】ロヒンギャへの謝罪相次ぐ、国民意識に変化[社会](2021/04/27)
ミャンマーで2月1日のクーデター以降、西部ラカイン州のイスラム教徒少数民族ロヒンギャに共感する国民が増えているようだ。国軍による弾圧を受けて初めて、ロヒンギャ問題を誤解していたことに気付いた学生や著名人のほか、政治家もロヒンギャへの謝罪を表明している。米系メディアのラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。
ミャンマーの民主派が16日に発足させた「挙国一致政府(NUG)」で女性・青年・児童問題の担当大臣に就任したスザンナ・フラ・フラ・ソー氏は22日、「国民民主連盟(NLD)政権は5年間、迫害されていた少数民族の人権や苦しみを無視していた」として、全てのロヒンギャに公式に謝罪。自身も国会議員でありながら、ロヒンギャのために声を挙げなかったことを詫びた。
ミャンマーではクーデター以降、ロヒンギャに対する謝罪を正式に表明する人々が増えている。スザンナ・フラ・フラ・ソー氏に先立ち、2月にはインターネット上での影響力が強い著名な作家2人が、相次いでロヒンギャに対する謝罪を表明。ロヒンギャ問題に無関心だったと謝罪した。
NLD議員らが設立した「ミャンマー連邦議会代表委員会(CRPH)」が国連特使に任命したササ医師も3月中に、ロヒンギャの指導者らと会談。自身のフェイスブックで「国軍に長い間苦しめられてきたロヒンギャに正義をもたらす」と宣言した。
同月には、最大都市ヤンゴンのタンリン郡区の学生活動家らが、ロヒンギャとラカイン族に対する謝罪文を発表。過去の自分たちの無知と沈黙を心より謝罪するとし、「ロヒンギャとラカイン族に対するあらゆる不当な行為に立ち向かう」と強調している。RFAが取材したヤンゴンの住民の1人も「クーデター後、国軍の残虐行為を目の当たりにして初めて、ロヒンギャ問題を誤解していたことに気付いた」と話した。
英国を拠点とする「英国ビルマ・ロヒンギャ協会」のトゥン・キン会長は「2017年に起こったロヒンギャ大虐殺の際、国民の多くは国軍の弁明を信じ、虐殺が真実ではないと思っていた」と指摘。「現在、国軍が当時ロヒンギャに対して行ったのと同じ残虐行為を行い、市民が犠牲になっていることは大変に遺憾だ」と述べた。