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【フィリピン】厳格な外出制限、1週間延長[社会](2021/04/05)

フィリピン政府は3日、マニラ首都圏と周辺4州で実施している最も厳しい外出・移動制限措置を1週間延長すると明らかにした。4日に期限を迎える現行措置を11日まで延ばす。新型コロナウイルスの感染が過去最悪の水準で拡大しているため、住民の外出や経済活動を大幅に制限して封じ込めを図る。長期的な感染対策や医療体制の見直しにも注力する。

政府はマニラ首都圏と周辺4州で最も厳しい外出・移動制限措置を1週間延長する=3月下旬、マニラ市(NNA撮影)

政府はマニラ首都圏と周辺4州で最も厳しい外出・移動制限措置を1週間延長する=3月下旬、マニラ市(NNA撮影)

政府は4段階ある外出・移動制限措置で、首都圏と周辺のカビテ州、ラグナ州、リサール州、ブラカン州を最も厳しい水準で維持する。これらの地域では3月29日から4日まで最も厳しい措置を実施していた。

住民には引き続き、食料品の購入など必要不可欠な外出以外を禁止する。企業活動は食品や医薬品、銀行、輸出加工型などに限る。夜間外出は午後6時から午前5時まで禁止し、鉄道の運行は定員の20~30%に抑える。

最も厳しい外出・移動制限を実施しても、コロナの感染急増には歯止めがかかっていない。4日まで3日連続で1日当たりの感染者は1万人を超え、重症患者向けの集中治療室(ICU)の使用率は78%と危機的水準が続いている。現在の感染拡大は、感染力が高い変異ウイルスが要因で治療が追い付いていない。

フィリピン大学のシンクタンク、OCTAリサーチによると、最も厳しい制限措置が1週間続くと、感染者1人が平均で何人に感染させるかを示す「実効再生産数」は1.44に、2週間だと1.08に下がることが見込まれる。それでも、その後2週間は病院の病床使用率は70%超えが続くという。

ロケ大統領報道官は3日の会見で「予防、検査、隔離、治療、復帰に特化した感染対策を進めていく」と話した。各省庁や自治体からデータを集め、長期的に効率性の高い対策が講じられるよう注力していく考えだ。

下院のステラ・キンボ議員は「保健省がコロナ対策へのアプローチを修正しなければ、最も厳しい外出・移動制限は無意味になってしまうだろう」と指摘する。PCR検査のほか、抗原検査も含めて全体の状況を把握することや、家族単位での外出・移動制限措置を導入するべきだと主張した。

外出・移動制限の厳格措置は経済活動への影響が大きく、住民への負担も増す。一時的に感染が抑制されても、緩和された後に人の移動が再び活発になれば感染はまた拡大に転じる可能性が高い。厳格措置で時間を稼いでいる間に、長期的な感染対策や医療体制を構築することが急務になっている。

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