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【ミャンマー】出国の検討・助言が増える[経済](2021/03/15)

欧米やアジアの複数国が、政情が悪化するミャンマーの在留者に、帰国や出国の検討を促し始めた。クーデターの抗議デモ参加者に対する国軍の武力行使が過激化していることや、商用航空便の定期運航が見通せないことなどが理由。退避勧告を出した主要国はまだないが、状況が改善しなければ出国者が増える可能性がある。

国内では2月1日にクーデターが起き、同6日から市民の抗議デモが連日続いている。最大都市ヤンゴンでは、国軍側の武力行使が26日から一気に強まり、28日に1日としては最多の18人が銃撃により死亡した。犠牲者は増え続けており、今月13日までに累計で80人以上に達した。

治安部隊はデモ隊や軍政に抵抗する市民を攻撃しており、民間外国人の拘束は、メディア関係者に限られる。ただ、特定の地域に集中していたデモが市内各所に広がり、警察官や国軍の兵士が発砲や市民拘束のための捜査をためらわなくなっていることから、在留外国人は巻き込まれないために外出を制限される状況にある。

これまでのところ、米国が先月半ばに不要不急の滞在者に自主的な出国を促し、3月に入ってからは、複数の国が在留者への退避検討を呼び掛け始めた。

最も強い通達を出したのはシンガポール。5日に「可能な限り早い出国の検討」を呼び掛け、同時に自国からミャンマーへの渡航について「延期」を強く要請した。

日本の外務省は9日、「今後事態が急変する可能性がある」とした上で、急を要する用務がない場合は、商用便による帰国の是非を検討するよう促した。米国とほぼ同様のスタンスになる。2月21日には、日本からの渡航の危険レベルを、「レベル2(不要不急の渡航自粛)」に引き上げた。

英国は12日、急用がない在留者を対象に「商用便での出国を助言」すると発表。オーストラリアも「状況を懸念する在留者」に出国の検討を呼び掛けた。

■空路の確保を懸念

退避勧告を出した国は現時点でみられないが、各国ともに商用便の運航状況を懸念している。

ミャンマーはクーデター前から新型コロナウイルスの感染防止策で、国際線旅客機の着陸を禁止しており、商用便は救援便に限られていた。さらに、軍政への抗議を表すために業務を放棄する市民不服従運動(CDM)に航空当局の職員が参加していることにより、通常通りの頻度での航空便運航が行えていない状況だ。

現在は、ミャンマーの大手財閥カンボーザ(KBZ)グループのミャンマー国際航空(MAI)が近隣国と結ぶ国際線を飛ばし、外国の航空会社は不定期で運航している。日本と結ぶヤンゴン発の旅客便は、全日本空輸(ANA)のほか、シンガポール、韓国ソウルなどの経由便がある。ANAは2月中に2回、沖縄経由の成田空港行きを運航。3月も19日に帰国便を予定する。

インドは、大使館を通じ「状況を懸念する在留者」に、自国が運航する救援便を案内すると呼び掛けている。

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