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【フィリピン】コロナ感染、再び拡大傾向[社会](2021/03/10)

フィリピンで新型コロナウイルスの新規感染が再び拡大に転じている。9日までの4日間の感染者数は西太平洋地域で最多を記録し、累計60万人を超えた。従来型よりも感染力が高い南アフリカ型変異株などへの感染が要因とみられ、足元の感染者の伸びは直近のピークだった昨年9月の水準に逆戻りした。政府は自治体などに対して対策強化を求めている。

厳格な外出・移動制限措置が敷かれたマニラ首都圏パサイ市のバランガイ=3日(NNA撮影)

厳格な外出・移動制限措置が敷かれたマニラ首都圏パサイ市のバランガイ=3日(NNA撮影)

世界保健機関(WHO)によると、9日午前10時までの4日間の新規感染者数は、フィリピンが1万3,096人と西太平洋の27カ国・地域で最多だった。フィリピンは8日まで4日連続で3,000人を上回ったほか、累計感染者数は9日時点で60万428人と東南アジア諸国で2番目に多い。

ロケ大統領報道官は9日の記者会見で「感染拡大は問題だ。自治体は感染者の隔離、追跡、移動に対する監視を強化する義務がある」と話した。ただバランガイ(最小行政単位)単位の外出・移動制限措置の厳格化を推進し、都市規模の制限強化はしない考えを示した。

内務・自治省は自治体と警察に対し、感染対策と違反者の取り締まりの徹底を指示した。運輸省も公共交通機関の職員や利用者に関して、これまで以上に対策が実施されているかを注視していくと強調した。

フィリピン大学のシンクタンク、OCTAリサーチは、現在のペースが続いた場合、マニラ首都圏だけで3月末までに新規感染が1日当たり6,000人に達すると予測する。ただ病床使用率は現時点で60~65%と、70%以上の危険水準には達していない。政府は当面、感染対策を重視していく方針だ。

首都圏パサイ市では南アフリカ型変異株の感染者が複数確認され、多くのバランガイが外出・移動制限措置の厳格化に動いた。足元の感染拡大の要因とも懸念されているが、保健省は現時点で確認できていないとして関連性を否定している。

WHOのフィリピン代表を務めるラビンドラ・アベヤシンヘ氏は、家庭内で変異ウイルスが広がっている恐れがあると指摘する。ただ断定することは現段階で難しいとも述べ、他の要因も考慮する必要があると慎重な姿勢を示した。

首都圏に住むある会社員は「外出時にマスクやフェースシールドの着用など基本的な対策は求められるが、マーケットに入る際などのチェックは以前より緩くなっている」と話す。ジプニー(フィリピン式乗り合いバス)の運行再開が進んだため、人の移動が多くなっていることも増加の一因になっている恐れがある。

ドゥテルテ大統領は8日夜の演説で「政府を信じて手洗いやマスクの着用、人と人との間に一定の距離を取る対策を徹底してほしい」と呼び掛けた。

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