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【シンガポール】金融最大手DBS、コロナ禍で通期26%減益[金融](2021/02/11)

DBSグループ・ホールディングスが発表した20年12月期決算は、純利益が前期比26%減の47億2,100万Sドルだった=10日、シンガポール中心部(NNA撮影)

DBSグループ・ホールディングスが発表した20年12月期決算は、純利益が前期比26%減の47億2,100万Sドルだった=10日、シンガポール中心部(NNA撮影)

シンガポールの金融最大手DBSグループ・ホールディングスが10日発表した2020年12月期決算は、純利益が前期比26%減の47億2,100万Sドル(約3,720億円)だった。新型コロナウイルス感染拡大による景気減速や金利低下で、純金利マージンが大幅に縮小したほか、貸倒引当金を積み増したことが収益を圧迫した。通期決算は、19年まで3期連続で過去最高を更新していた。

売上高に相当する経常収益は、横ばいの145億9,200万Sドル。純金利収入(資金利益)は6%減の90億7,600万Sドルだった。純金利マージンが1.62%と前期比で27ベーシスポイント(0.27%)低下したことが響いた。貸出金や有価証券などで得られる資金運用収益は22%減少した。

手数料収入は横ばいの30億5,800万Sドルだった。特定取引利益(金利や為替、有価証券価格の変動などを利用して利益を得る特定取引勘定で獲得した利益)を含む、その他の非金利収入は32%増加の24億5,800万Sドル。投資有価証券の売却益が約3倍に伸びたことが貢献した。

貸倒引当金は前期比4.4倍の30億6,600万Sドルに膨らんだ。このうち17億1,000万Sドルは、コロナ禍による融資の焦げ付きに備えて計上した。国・地域別では、シンガポールが54%増、中国が4.6倍、香港が2.7倍となり、特に中華圏で貸倒引当金の増加が目立った。

20年12月末時点の不良債権比率は1.6%。前年同月末の1.5%からわずかに上昇した。

自己資本利益率(ROE)は、前期の13.2%から9.1%に低下。12月末時点の融資残高は前年同月末比4%増の3,711億7,100万Sドル、預金残高は同15%増の4,648億5,000万Sドルだった。

20年10~12月期決算は、純利益が前年同期比33%減の10億1,200万Sドル、経常収益が6%減の32億6,300万Sドルで減収減益となった。

経常収益の内訳は、純金利収入が13%減。純金利マージンの低下が響いた。手数料収入は1%増、その他の非金利収入が35%増だった。

DBSのピユシュ・グプタ最高経営責任者(CEO)は、「20年12月期は非常に厳しい経営環境に置かれたが、融資残高や手数料収入は堅調だった。昨年末にはデジタル通貨取引所を開設するなど新しい試みにも着手しており、デジタル金融事業で業界をけん引する存在を目指す」と述べた。

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