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【香港】EGLがガイド120人解雇へ、従業員の25%[観光](2021/01/21)

日本ツアーを主力とする香港の地場大手旅行会社、東瀛遊控股(EGLホールディングス)は19日、全従業員の4分の1に当たる約120人を解雇すると発表した。主に日本や欧州など長距離旅行のツアーガイドが対象で、7日以内に実施する。新型コロナウイルスの感染拡大に伴いツアー需要がなくなり、短期的な回復は見込めないと判断した。20日付地元各紙が伝えた。

同社のケン国全(スティーブ・ヒュン、ケン=しめすへんによんがしらの下が羽)執行取締役が19日開いた従業員大会で説明した。対象者に対しては、観光業が回復した時に優先的に再雇用する方針を説明。「試験も面接も何も不要で、無条件で再雇用する」と語り、苦渋の判断だったことをにじませたという。

同社は総額2,000万HKドル(約2億7,000万円)を従業員への退職金として準備。コロナの影響が出る前の昨年1月時点の給与を基準に支給する。勤続20年近いベテランの場合、退職金は30万HKドル程度になる見込み。同社は春節(旧正月、今年は2月12日)連休前の2月第1週目には支給できるとみている。

同社は、香港政府が昨年、企業の雇用維持を目的に2回に分けて実施した賃金補助制度に2回とも申請し、補助金を受給。政府のウェブサイトによると、東瀛遊控股(従業員数5人)と東瀛遊旅行社(同519人)を合わせた受給額は約2,400万HKドルだった。

民主派労働団体、香港職工会連盟(職工盟)の下部組織で、添乗員やツアーガイドが加入する労組「外遊領隊及導遊工会」の湯剣生主席は、ガイドは既に1年近く給与の支払いを停止されたまま仕事も探せていないと説明。もし辞職した場合は補償もないと窮状を訴えた。EGLの対応に対しては「雇用主からすれば、給与払いを停止したまま雇用を維持していた方が(退職金を支払って)解雇するよりコストを低く抑えられる」と述べ、正常時の収入に基づき退職金を支給することを評価した。ただし、「追随する同業者はあまり多くないのではないか」との見方を示した。

■今年末までの回復は困難、業界団体

地元観光業界団体、香港旅遊業議会の陳張楽怡(アリス・チャン)総幹事(事務局長)はNNAの取材に対し、新型コロナの感染拡大以降、旅行各社は従業員への無給休暇の取得要請や人員削減を主軸にコスト削減を行ってきたが、「今年の年末までに業界が回復するのは難しい」と見通した。

EGLのように退職金を支払っての解雇については「(業績回復の見通しがなく、ただ延命のために)点滴を打っているよりも良いことだ」と述べた。

旅行会社の中には、出店コストを削減するため支店を閉鎖・移転する動きも続いている。陳張氏によると、昨年9月に議会が旅行会社の経営場所に関する規定を緩和して以降は、同業他社とオフィスを共有する傾向もみられるという。

香港では昨年11月末、老舗旅行大手、香港永安旅遊(ホンコン・ウィンオン・トラベル・サービス)が全従業員の2割に当たる約120人を解雇すると発表。雇用の維持を目的にした政府の賃金補助が11月で打ち切られたのに合わせて人員削減を発表している。

EGLは日本や欧州などのツアーガイド約120人の解雇を発表した=20日午後5時、銅鑼湾(NNA撮影)

EGLは日本や欧州などのツアーガイド約120人の解雇を発表した=20日午後5時、銅鑼湾(NNA撮影)

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