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【フィリピン】一般就労ビザで再入国可能に[経済](2020/12/21)

フィリピン政府は18日、新型コロナウイルス対策で実施している外国人に対する入国規制を緩和し、一般的な就労査証(ビザ、通称9g)の保有者などの再入国を認めると発表した。約9カ月ぶりにビジネス関係者の往来がこれまでよりもスムーズになる。ただ今月17日以降にフィリピンを出国した人のみが対象となり、既に国外に退避済みの人への恩恵は見込めないようだ。

ニノイ・アキノ国際空港(NAIA)の出発ゲートで荷物を運ぶ人たち=11月下旬、マニラ首都圏(NNA撮影)

ニノイ・アキノ国際空港(NAIA)の出発ゲートで荷物を運ぶ人たち=11月下旬、マニラ首都圏(NNA撮影)

今回の措置では、一般就労ビザのほか、外国政府職員とその家族など向けのビザの保有者が対象となる。再入国の際に既存の有効なビザを所持している必要があるほか、空港でのPCR検査や自主隔離する施設を事前に予約していることなどが条件となる。

入国規制を巡っては11月1日以降、有効なビザの保有者に対して段階的に緩和されてきたが、特定の投資家や貿易事業者、フィリピン経済区庁(PEZA)の登録企業の従業員などに限られていた。このため、日本を含む多くの外国人が保有している一般就労ビザへの対象拡大を求める声が強かった。

今回の措置によりビジネス関係者の往来は増えそうだが、実際の恩恵は小さそうだ。入国管理局のモレンテ長官は19日、「今月17日より前に出国した人は対象外となる。全ての一般就労ビザ保有者などが含まれるわけではない」と強調した。対象者を絞り込むことで、空港での検疫を徹底する狙いがあるとみられる。

新型コロナの感染が世界で広がったことを受け、政府は3月下旬から新規ビザの発給手続きを停止している。3~4月にフィリピン国外に退避した人は多く、既にビザの有効期限が切れている人も少なくない。今回の措置ではこれらの人たちは規制緩和の対象に含まれないことになる。

入国規制の開始後もフィリピンにとどまり、今回の規制緩和の対象になっている在留外国人にとっても不便は残る。ビザの更新時期に差し掛かっている人たちは国内で手続きが可能だが、感染対策で入管の作業は滞りがちで、完了までに6カ月前後を要することもあるようだ。更新手続きが終わっていないまま出国すれば、再入国は難しくなる。

有効なビザを保有していない人が入国するには、緊急目的での渡航制限の免除を申請するしかない。ただ申請前に該当する省庁から推薦状を取得する必要があり、推薦を基に特別ビザを発給する外務省には申請が殺到している。入国規制を巡っては今後も厳しい状況が続きそうだ。

入管によると、2020年1~9月にフィリピンを出国した外国人は約200万人に上る。同期間の入国者数は約150万人となり、初めて出国者数が入国者数を上回った。出国者数を国別に見ると、韓国が40万人以上と最も多く、中国が約29万3,000人、日本が16万6,000人以上と続いた。

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