【シンガポール】クレディセゾン、東南アでインパクト投資[金融](2020/12/14)
クレジットカード大手のクレディセゾン(東京都豊島区)は11日、シンガポール子会社を通じて東南アジアでインパクト投資事業を開始すると発表した。全ての人が金融サービスを利用できるようにする「ファイナンシャルインクルージョン(金融包摂)」の取り組みを、アジア地域で推進する事業の一環となる。
インパクト投資は、教育や貧困などの社会課題を解決しつつ、経済的な利益を追求する投資行動だ。シンガポール子会社セゾンキャピタルは、まず試験運用としてインパクト投資事業を開始。低所得層や中小零細企業向けに金融サービスを提供する現地の金融機関、フィンテック(ITを活用した金融サービス)企業に対し、貸付資金を融資する。
まず約10億円の自己資金を使って融資する。その後はインパクト投資を志向する投資家の資金も活用。2021年度中に日本の投資家とファンドを組成し、将来的にはインドなど南アジアにも対象地域を広げる予定だ。
クレディセゾンの広報担当者はNNAに対し、「既に貸付資金を融資する企業を選定しており、来年1月以降に決定していく」と述べた。
クレディセゾンは中期経営計画の下で、金融包摂の取り組みをアジア地域で推進する目標を掲げている。人や情報、資金が集まりやすいシンガポールを拠点に、金融包摂に関する事業モデルを推進する。
インパクト投資は、国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」を達成する上で、必要な資金を提供できる事業として注目されている。ただ30年までにSDGsを達成するには年5兆~7兆米ドル(約520兆~730兆円)の投資が必要と推定され、途上国全体では年約2兆5,000億米ドルの資金が不足しているという。
クレディセゾンは、こうしたギャップを埋めるためにもインパクト投資事業をアジアで推進したい考えだ。