【香港】香港取引所の李CEO、退任後は起業の意向[金融](2020/12/16)
香港取引所(HKEX)の李小加(チャールズ・リー)最高経営責任者(CEO)は14日、オンラインで記者会見し、今月末の退任後の身の振り方について、自ら起業する意向を示唆した。15日付信報などが伝えた。
李氏は退任後、短期間の休暇を経て新しい職務に移る考えを表明。「香港からも中環(セントラル)からも離れるつもりはないが、(取引所が入居する)交易広場(エクスチェンジ・スクエア)にしょっちゅう顔を出すのは気が引けるし、人に使われる気にもなれない」と心情を明かし、「この年になって自分にどれだけのことができるか試してみたい」と起業する意向を示した。さらに、「金融には水のような性質がある。その水を引く『水利エンジニア』に興味がある」と述べ、内外の資金をつなぐ金融業を想定していることをほのめかした。
李氏については政界進出の観測もくすぶっているが、李氏自身は記者の質問に「あれこれ想像を巡らせているようだが、そういう計画はない」と一笑に付した。新進気鋭の経営者、李山氏が今年3月に設立した香港の新しい親中派政党「紫荊党」に誘われているのではないかとの質問に対しては、「同党や香港の政治状況のことをもっと知りたいと思っている」と興味を示す一方、「入党の誘いはまだ受けていない」と述べた。
■本土と世界市場融合の「転換器」
李氏は金融市場を巡る内外情勢についても見解を明らかにした。
今年6月の香港国家安全維持法(国安法)施行後、金融センターとしての香港には斜陽化論も取り沙汰された。しかし、李氏は「香港は、体制や文化の異なる中国本土と域外の金融市場を融合させる『転換器』の役割を永遠に果たしていける」と強調。その役割を果たすためには「新しい環境に順応するため、香港も絶えず変わり続けることが重要だ」との認識を示した。
米中関係については、「今後10年は共存を探る展開になると思うが、衝突は避けられず、香港は両国にとって調整役として不可欠な存在になる」との見方を示した。
広東省、香港、マカオの3地域で一体的な経済圏を目指す「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)」構想に香港政府が積極的に取り組んでいることに関しては、「香港の若者に多くの選択肢をもたらすことになる」と期待感を示した。