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【香港】市場、バイデン氏当確を好感[金融](2020/11/10)

9日の香港株式市場は、米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が当選を確実にしたことを受けて3日続伸し、ハンセン指数は7月9日以来4カ月ぶりの高値を付けた。政権交代によってトランプ現政権が取ってきた対中強硬姿勢が和らぐとの期待から、中国本土のハイテク銘柄が大きく上昇。米国の制裁懸念が重しとなってきた銘柄にも買いが集まった。市場関係者の間では、バイデン氏の当確が株式市場にプラスに働くとの見方が広がっている。

ハンセン指数の終値は、前営業日比303.20ポイント(1.18%)高の26016.17だった。

ハイテク企業30銘柄で構成する「ハンセンテック指数」は、241.65ポイント(3.0%)高の8394.19と過去最高を更新した。本土電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)が2.9%高となったほか、本土IT大手の騰訊控股(テンセント)は過去最高値を更新し1.3%高と好調だった。本土消費者向けサイト・アプリ運営大手の美団点評も2.6%と大きく上げた。

米中テック対立の焦点となっている本土通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)関連銘柄にも買いが入った。同社と取引のある本土のスマホ向けカメラレンズメーカーの舜宇光学科技(サニー・オプティカル・テクノロジー)は8.1%高と急伸し、ハンセン指数構成銘柄で最大の上げ幅となった。スマホ関連では本土小型音響部品大手の瑞声科技控股(AACテクノロジーズ)も4.9%、本土通信機器大手の中興通訊(ZTE)も5.9%それぞれ上げた。

半導体関連では、米国の輸出規制の対象となった本土ファウンドリー(半導体の受託製造)大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)が2.5%高だった。

ハンセン中国企業株指数(H株指数)は135.27ポイント(1.29%)高の10633.07。売買代金の概算は1,684億5,300万HKドル(約2兆2,500億円)だった。

この日はマカオのカジノ銘柄や本土の証券銘柄などにも買いが入った。

■テック銘柄が主導か

大和証券キャピタル・マーケッツ香港の五百旗頭治郎(いおきべ・じろう)アジアリサーチヘッドはNNAに対し、バイデン氏の当確について「市場は基本的にポジティブに捉えている」と指摘し、「米中関係が今後安定に向かうのではないかとの見方が強いようだ」と分析した。

香港株式市場の先行きについては、新型コロナウイルスの影響で香港では小売り・観光業の厳しい状況が続いているものの「時価総額が大きい本土のテック銘柄が主導する形で株価は上値を追うと期待したい」とコメントした。

また、スイス金融大手、クレディ・スイスの邵志銘(ジャック・シウ)ストラテジストは9日付香港経済日報で、民主党と共和党の両党がまずは米国内の内政問題に集中するとの見通しを示した上で「米中は一息つける時間を持つことができ、本土と香港の株式市場にとって短期的にプラスに作用する」と指摘した。

9日付信報などによると、プライベートバンクのバンク・オブ・シンガポール(BOS)の霍慧敏(ルイーザ・フォック)ストラテジストは、バイデン氏の大統領就任後に「新たに米中摩擦に組み込まれるテーマはないとみられる」と予測。株式市場にとっては「マイナス面のサプライズ」が減ることとなり、香港市場への圧力は限られると強調した。

一方、トランプ氏は敗北を認めておらず、法廷闘争を本格化させる方針を示している。最終的な選挙結果が確定するのに時間がかかり、市場に変動をもたらすとの見方もあるが、霍氏は「本土と香港の株式市場が明確な衝撃を受けるとは予測していない」と述べ、影響は限定的との見方を示した。

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