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【台湾】複数の経済団体、「中台関係の緊張緩和へ」[経済](2020/11/10)

米大統領選挙で、民主党のバイデン前副大統領の当選が確実となったことを受け、複数の台湾経済団体は、「バイデン氏の就任によって中台関係の緊張が緩和に向かう」との見方を示した。米国の対中戦略が理性的になるのは、台湾にとって有利とみている。

9日付経済日報が伝えた。台湾の経済団体、中華民国三三企業交流会(三三会)の許勝雄理事長は8日、「バイデン氏はトランプ現大統領より穏健な手法を中国に取るとみられるものの、米中間が対立する構造に変化はない」と指摘した。

中華民国全国工業総会(工総)の蔡練生秘書長は、バイデン氏の就任後も米国の反中戦略に変更はないが、温和な手法を採用するとの見方。台湾は政治、経済、国防の各方面で米国と密接な関係にあり、台米間は今後もこれまでと同様に親密な関係を維持する必要があると述べた。

一方、中華民国工商協進会の林伯豊理事長は、アジア太平洋地域の地政学上、台湾は一定の影響力を持っているとして、「台湾は親米であってもいいが、中国と友好関係を築かなくてはならない」と強調。台湾の“国家”としての立場に立って最大の利益を考慮すべきだと訴えた。

ただ蔡秘書長は米中関係の緊張緩和によって、中台間の関係も改善するとみている。台湾企業は今後、リスク分散を目的に投資を世界各地に振り分けると見通した。

中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長は、バイデン氏が中台関係を強く刺激することはないとみて、中台間の経済貿易活動が回復に向かうと指摘した。

市場では、今後の台米間の経済協力を巡って、「米国との貿易・投資枠組み協定(TIFA)の協議再開」、「2国・地域間貿易協定(BTA)の締結時期」、「米国のインド太平洋政策の協力実行」の3点に注目が集まっているという。

経済団体の幹部はいずれもBTAの締結に期待感を示しているが、蔡秘書長は締結までに長い時間がかかるとの見方を示した。

■台湾元の上昇継続か

台湾元は当面、上昇を続けるとの見方が出ている。

台湾政治大学金融学部の朱浩民教授によると、新型コロナウイルス感染症が世界的に広がる中、向こう2~3年は金融市場の変動が続く見通し。米国の量的緩和策が米ドル以外の通貨の上昇を促す要因。米大統領が誰になろうとも、状況は変わらないという。

朱教授は、台湾企業が向こう1~2年の台湾元高を見越して、為替ヘッジに動いていることを説明した。

決算期が終わる来年初めに台湾元の上昇圧力が一段と強まるとの指摘もある。

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