【シンガポール】顔認証でネットバンキング申込、DBS銀行[金融](2020/07/30)
シンガポールのDBS銀行は29日、インターネットバンキングに新規で利用申し込みする際の本人確認手続きを、顔認証で簡素化する試験事業を始動すると発表した。細かい情報を入力する手間を省くことで、高齢者などのネットバンキング利用を促進したい考えだ。
政府テクノロジー局(GovTech)が開発した、電子行政サービスの共通IDナンバーシステム「シングパス」の顔認証機能を活用するため、シングパスに登録済みの人が対象となる。シングパスに登録済みで、ネットバンキングを利用していないDBSの顧客は100万人以上いるという。
従来のネットバンキングの利用申し込みでは、顧客に本人確認のプロセスで、キャッシュカード情報や暗証番号、あるいは郵便で届く情報を入力してもらう必要があった。シングパスの顔認証機能を活用すると、スマートフォンのカメラで「自撮り」してもらうだけで済む。
具体的には、顧客がDBSのネットバンキングアプリのガイダンスに従い、自分の顔を撮影すると、政府の生体認証データベースに保存されているNRIC(国民身分証)またはパスポート情報上の顔写真と照合され、本人確認が行われる。
照合完了後、ショートメッセージサービス(SMS)を通じてワンタイムパスワード(OTP)を受信。OTPをアプリに入力すると、ネットバンキングサービスが利用できるようになる。
100人余りの高齢者と学生を対象に同サービスを利用してもらったところ、「手続きがシンプル」だと好評だった。ある女性(66)は、「ネットバンキングへの申し込みは敷居が高いと感じていたが、孫と一緒に写真を撮る感覚でできた」と語った。
シングパスは、NRICまたはFIN(外国人登録番号)の保有者が利用できるサービス。パスワードを設定し、住所や電話番号などの個人情報を登録しておくと、シングパスと連携したさまざまな電子サービスを利用する際に、ID(NRIC番号またはFIN)とパスワードを入力するだけで、住所など必要な情報を自動的に入力できる。