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【インドネシア】防護服など輸入増、繊維業界が国産保護要請[繊維](2020/07/28)

インドネシアで医療従事者用の防護服やマスクなどの新型コロナウイルス対策関連製品の輸入が加速している。新型コロナ感染の流行が始まった当初は、国内供給量が需要を満たせずに輸入に頼っていた。しかし繊維業界は、現在は国内メーカーが内需に対応できると主張、政府に輸入停止などの国産品の保護政策を求めている。

国産防護服の生産工場(国家災害対策庁提供)

国産防護服の生産工場(国家災害対策庁提供)

ビスニス・インドネシアなどによると、中央統計局の貿易統計では、医療用防護服の5月の輸入量が356トンと2倍以上に急増した。1~5月の輸入総量は3,000トン近くに上り、特に3月から3カ月間の輸入が全体の6割を占めた。

ナショナル・シングル・ウィンドー協会(LNSW)のデータでは、年初から7月20日までのコロナ関連製品の輸入総額は4億750万米ドル(約430億円)。ビスニス・インドネシアによると、中央政府や自治体による輸入は全体の2割弱に過ぎず、残りの8割は民間企業や非営利団体などが輸入した。

輸入額上位10団体・企業をみると、コロナ関連対策を取り仕切っていた国家災害対策庁(BNPB)が全体の7.58%(輸入額は3,089万米ドル)で最大だったが、残り9団体・企業はいずれも民間だった。医療従事者用以外にも、寄付などの社会慈善活動などのために調達されたものもあると伝えている。

輸入が増えた背景には、政府が防護服やマスクなどの関連製品の輸入関連税免除や、それまで限定していた輸入港を開放するなど規制を緩和したことなども影響したとみられている。

インドネシア合成繊維生産者協会(Apsyfi)のレドマ事務局長は「輸入品の基準が規定されなかったことも輸入増を助長した」と指摘した。

インドネシア繊維業者協会(API)のリザル事務局長は「国内繊維メーカーの防護服の生産体制が整い、本来なら輸入は減るはずだ。政府は、国産品の利用を後押しするために輸入を規制すべきだ」と主張した。

リザル氏によると、国内繊維メーカーの防護服の月産能力は現在1,600万着。これに対し、国内需要は月500万着程度とみており、十分に内需を満たせるとの考えだ。ただ、輸入量が減らないために、繊維メーカーが生産量を減らしていると指摘した。

インドネシア繊維専門連盟のスハルノ会長は、政府に対し、国内で生産が可能な防護服の輸入停止や輸出促進に向けた輸出税の撤廃などの優遇策を要請した。

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