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【フィリピン】セブ市の外出制限強化[社会](2020/06/17)

フィリピン政府は16日、同日から30日まで適用する外出・移動制限措置の新たな区分を発表した。新型コロナウイルスの感染者が急増している中部セブ市は、住民に完全自宅待機を命じる最も厳しい措置に戻すほか、マニラ首都圏でも一部地域で感染が収まっていないとして従来の緩和措置を維持する。政府は約3カ月にわたり感染抑制に注力してきたが、収束にはなお時間がかかりそうだ。

ドゥテルテ大統領はセブ市の外出・移動制限措置の厳格化を決めた(大統領府提供)

ドゥテルテ大統領はセブ市の外出・移動制限措置の厳格化を決めた(大統領府提供)

国内で制限措置が緩和されてから、厳格な措置に逆戻りするのはセブ市が初めて。政府は同市と首都圏を全国でも感染リスクが高い地域として警戒感を強めている。首都圏も措置が厳格化される可能性があったが、医療の対応能力の差が判断を分けた。

政府は制限措置を緩和する判断材料として、(1)累計感染者数が2倍になる日数(2)重症患者への対応能力(3)経済活動――を重視している。首都圏の累計感染者数は15日時点で1万3,694人、セブ市は14日時点で2,810人だった。

直近の累計感染者数の倍増ペースを見ると、セブ市は目安の7日間を下回る6.6日、首都圏は6.9日。一方、重症患者向け医療設備の使用率を見ると、セブ市はほぼ100%なのに対し、首都圏は35%にとどまっている。

ロケ大統領報道官は、16日のオンライン会見で「セブ市はビサヤ諸島の玄関口になっている。そこで感染が抑えられなければ一気に拡大するリスクが高まる」と話した。首都圏についても「高い人口密度が感染の温床になっている」と述べ、厳しい状況が続いているとの見方を示した。

セブ市の制限措置が厳格化されたことで、市内の企業活動は再び大幅に制限される。セブ日本人商工会議所(JCCI―CI)の会員企業は約160社に上り、操業を再開した企業にとって痛手になる。地場企業では既に、大手財閥アヤラ・コーポレーション傘下の商業施設が一時閉鎖を決めた。

一方、全国的に見ると、セブ市など複数地域以外では制限措置の緩和が進められている。ルソン島では首都圏や製造業が多い南部タガログA(カラバルソン)などを除く地域、ビサヤ諸島ではセブ市とタリサイ市を除く地域、ミンダナオ島ではダバオ市などを除く地域の大半で、外出・移動制限措置が一段と緩和されている。

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