スタートアップの資金調達・ビジネスマッチングサイト

【中国】北京が警戒レベル引き上げ[社会](2020/06/18)

北京市政府は16日、新型コロナウイルス感染症の流行に対する緊急対応体制を「3級」から「2級」に引き上げた。豊台区の食品市場を中心にした感染拡大が続いているため。57日ぶりに新規感染が確認された11日以降の6日間で、北京の感染者は累計137人となった。オフィスビルや商業施設では出入りの管理を厳格化するほか、市外への移動規制が取られるため、企業活動にも十分な注意が必要だ。

市政府の発表によると、警戒レベルの引き上げに伴い、オフィスビルや商業施設、工場などでは入り口での検温、スマートフォンアプリによる「健康コード」の確認などを必須とする。市は、2級の状況では企業活動の停止は不要としているが、オフィスでは出社人数を抑えることや、テレワークや時差出勤を奨励している。

住居面では、全ての社区(地域コミュニティー)での封鎖式管理を再開する。新型コロナの感染リスクの地域分類で「中」・「高」に指定された郷・鎮・街道(末端の行政組織)が管轄する小区(集合住宅)では、住民以外の人の往来を制限し、住民には自宅での経過観察とPCR検査を受けるよう求める。

飲食店では全面的な消毒、殺菌を実施し防疫措置を強化するほか、海産物などを扱い地面がぬれている食品市場は営業を停止する。

また、公共交通機関では乗車人数を制限し、図書館や博物館、美術館、観光地などの公園でも入場者数を上限の3割に抑えるといった措置を取る。不要不急な多人数での会食や集まりを禁止し、人との距離を1メートル以上取るソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保も求める。市外への、また市外からの団体観光ツアー催行も停止する。

■市外への移動はPCR検査義務付け

市外への移動規制も強化する。感染リスク地域分類で「中」・「高」地域の住人と、豊台区の北京新発地農産品卸売市場(新発地市場)に関係のある市民の市外への移動を禁止する。その他の市民に対しても、不要不急の市外への移動自粛を求めるほか、北京を離れる必要がある場合は、7日以内に行ったPCR検査の陰性証明を持参することを義務付けた。

北京での移動規制を受けて、北京を離着陸する航空便が相次ぎ運航停止を発表している。毎日経済新聞系のニュースサイト毎経網によると、17日には北京首都国際空港と大興國際空港を離着陸する計800便超の運航が停止したもようだ。これに伴い、中国国際航空、中国南方航空では一部北京便のキャンセル手続きを無料で行っているという。

ネットメディアの澎湃新聞によると、中国の国鉄運営を担う中国国家鉄路集団(中国鉄路)も、17日午前0時以前に購入した北京発着便の列車チケットの払い戻しを無料で行うとしている。

■小中学校の登校は一律停止に

北京市教育委員会は16日夜、17日から一律に小中学生の登校を停止し、オンラインでの授業に切り替えると通知した。高校3年生も同様に、家庭でのオンライン学習に切り替える。

大学と高等職業学校も17日から登校を停止するほか、幼稚園の通園も一律停止とした。

■感染者は豊台区が最多

北京市衛生健康委員会は17日、同市で16日に新たに31人の新型コロナの感染が確認されたと発表した。新京報(電子版)によると、北京市疾病予防控制センターのホウ星火副主任(ホウ=まだれに龍)は17日午後の会見で、感染者数は今後しばらく増加が続く可能性があるとの見方を示した。

11日から16日までに感染が確認された137人の居住区の内訳は、◇豊台区:99人◇大興区:17人◇房山区:4人◇海淀区:5人◇西城区:3人◇東城区:5人◇門頭溝区:2人◇石景山区:1人◇朝陽区:1人――となっている。

11日から15日に感染が確認された106人のうち62人は新発地市場の従業員で、残る44人も直接または間接的に同市場との接触があった。16日に確認された31人の多くも同市場との接触が確認されている。

■「中リスク」地域は5カ所増

ニュースサイトの界面新聞によると、16日夜までに新たに◇東城区永定門外街道◇豊台区豊台街道◇南苑(地区)郷◇大興区魏善荘鎮◇門頭溝区永定(地区)鎮――の市内5カ所が新型コロナの感染リスク地域分類で「中リスク」に追加された。

17日午前中の時点で「高」リスク地域は1カ所(豊台区花郷地区)、中リスク地域は27カ所となっている。

小区に入るため検温を受ける住民。北京では全ての社区で封鎖式管理が再開した=16日、同市海淀区(新華社)

小区に入るため検温を受ける住民。北京では全ての社区で封鎖式管理が再開した=16日、同市海淀区(新華社)

関連記事

公式Facebookページ

公式Xアカウント