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【香港】香港安全法、執行と司法に中央の権限保持[政治](2020/06/16)

中国国務院(中央政府)で香港・マカオ政策を所管する国務院香港マカオ事務弁公室のトウ中華(トウ=登におおざと)副主任は15日、香港に導入する国家安全法の執行と司法(裁判)について、「極めて特殊な状況の下では、中央(国)が対処する権利を留保すべきだ」と述べた。官営メディアRTHKが伝えた。同弁公室は香港版国家安全法の草案作成に直接関わっており、トウ氏の発言は、同法に基づく反政府運動などの摘発や起訴、裁判手続きに中国当局が直接関与する可能性を示唆した形だ。

中国本土の香港・マカオ事務シンクタンク、全国港澳研究会(全国香港・マカオ研究会)が広東省深セン市で開いた香港基本法(憲法に相当)30周年記念セミナーで述べた。

トウ氏は発言の前段で、国家安全法の執行と裁判のほとんどは香港政府が行うべきで、香港の司法権と終審権の独立には影響しないと強調。「国家安全法制は一国二制度の終わりにつながる」との懸念払拭(ふっしょく)に努めた。ただ、「特殊な状況」との条件付きながらも中国当局が直接、香港で法執行、司法手続きを進める権限を保持する姿勢を示したことで、香港の民主派や米国などは一層反発を強めそうだ。

■司法長官「英米法採用は合理的でない」

香港政府の鄭若カ(テレサ・チェン、カ=馬へんに華)司法長官は14日に更新した公式ブログで、国家の法律である香港版国家安全法の条文を、コモン・ロー(英米法)に完全に準拠して定めるのは合理的ではなく、実情にも合わないと主張した。

法廷弁護士(バリスター)でつくる香港法廷弁護士協会(HKBA)は12日に発表した声明で、香港版国家安全法が必要なのであれば、英米法の原則に準拠するべきだと訴えていた。鄭氏は要望を突っぱねた形だ。

HKBAの葉巧キ(アニタ・イップ、キ=おうへんに奇)副会長はこれを受け、RTHKの番組で鄭氏を批判。国家安全法に英米法の原則が適用されない場合、香港での法の支配は打撃を受けると危惧した。

香港の法体系は英国統治時代、英米法の原則に基づいて整備されており、香港基本法(憲法に相当)第6条は既存の法律(英国統治時代の法律)は1997年の返還後も原則、有効と定めている。

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