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【中国】北京の食品市場で集団感染[社会](2020/06/15)

中国の北京市・豊台区にある食品市場で新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)が発生し、流行第2波への警戒が高まっている。衛生当局が12日に実施したPCR検査では、同市場関係者の45人が陽性だった。首都である北京では厳しい防疫体制が敷かれ、約2カ月にわたり新規感染がゼロの状態が続いていたが、市は13日に「非常事態に入った」との見方を示した。

北京日報(電子版)や新京報(電子版)など複数メディアが伝えた。北京市では11日、4月15日以来57日ぶりとなる新型コロナの新規感染者が報告された。新規感染報告はその後12日に6人、13日には36人と増加している。14日は午前7時までに8人が感染したと報告された。

北京市疾病予防控制センターのホウ星火副主任(ホウ=まだれに龍)が14日の会見で明らかにしたところによると、13日に感染が報告された36人は、いずれも豊台区の「北京新発地農産品卸売市場」の関係者か訪問者、またはそれらの人と接触があった。同センターが12日に同市場で働く1,940人を対象にPCR検査を実施したところ、45人が陽性だった。これを受け同市場は13日未明から一時閉鎖。市場周辺の小区(集合住宅)11カ所でも出入りの検査を厳格化する封鎖式管理が取られている。

■海産物・肉類から感染の疑いも

同センターは市場関係者のほか、市場で売られている海産物や肉類といった食品、施設などから採取したサンプルも調べたところ、このうち40点で陽性反応が出た。

中国疾病予防控制センターの流行病学首席専門家である呉尊友氏は新発地市場での集団感染について、感染源は海産物や肉類、または人からの2通りが考えられると説明している。

呉氏によると、市場で販売されている食品は多くが国内他地域、または海外から仕入れられており、これら食品に触れた従業員が感染した可能性が考えられる。食品が冷凍されている場合は、ウイルスが長期間にわたって感染力を保つという。一方で市場は人の出入りが非常に多く、国内他地域から感染者が訪問している可能性もある。ただ呉氏は現在の感染状況から、食品が感染源である可能性が高いと指摘している。

■周辺地域でも警戒体制

北京市トップの蔡奇・北京市党委員会書記、陳吉寧市長らが参加する新型コロナ対策会議は13日、「北京市は非常事態に入った」との認識を示した。新発地市場の一時閉鎖や周辺地域の封鎖式管理のほか、国内他地域や海外から北京に入る人、海外からの貨物便や貨物への検査を厳格化し、感染経路を遮断すると表明した。

北京市では14日午後3時、豊台区花郷地区が新型コロナの感染リスク地域分類で「高」に、西城区金融街街道が「中」に指定された。同市ではほか西城区月壇街道、豊台区西羅園街道、房山区長陽鎮なども中リスク地域となっている。

警戒は他地域にも広がっている。天津市と河北省の複数の区、市は13日、過去2週間~1カ月以内に新発地市場を訪れた人は報告し、PCR検査を受けるよう指示した。遼寧省の瀋陽桃仙国際空港や四川省では、北京市の中~高リスク地域からの訪問者に14日間の隔離措置を適用している。

北京ではこれまで、海外からの国際便は天津など国内他地域の空港でまず検査を受けた後に北京入りさせるなど、他地域にリスクを負担させてでも首都での感染拡大を抑える厳重な防疫措置を取ってきた。これにより4月中旬から新規感染ゼロの状態が続き、5月下旬の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)も乗り切った。ただ今回、最近では国内他地域でも類を見ない規模での感染発覚により、管理体制の厳格化がさらに長期化することになりそうだ。

北京市豊台区の食品市場の一時閉鎖を受け、海淀区のスーパーでは生鮮食品の供給拡大に努めている=14日(新華社)

北京市豊台区の食品市場の一時閉鎖を受け、海淀区のスーパーでは生鮮食品の供給拡大に努めている=14日(新華社)

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