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【ミャンマー】ミャウー世界遺産申請、戦闘でいったん断念[社会](2020/06/15)

ミャンマー政府は、西部ラカイン州の遺跡都市ミャウーの国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産申請をいったん棚上げする方針を明らかにした。同地域で国軍と少数民族武装勢力の衝突が悪化しており、提案書をまとめられる段階にないと判断した。

ビルマ民主の声(DVB)電子版が10日報じた。ラカイン州では2018年末から、ミャンマー政府が「テロリスト団体」に指定する武装勢力「アラカン軍(AA)」と国軍の衝突が続いている。宗教・文化省の高官によると、世界遺産登録を提案する書類の8割は完成しているが、残り2割に必要な現地人との面談が戦闘のために行えない状態。

同省のチー・ミン副相は10日、首都ネピドーで開いた記者会見で「(紛争の)状況が落ち着かない限り、ユネスコに出す提案書を仕上げることは難しい」と説明。同地域での和平がもたらされた後、ただちに作業を進めるとした。

ミャンマー政府は、中部バゴー管区のピュー古代都市、マンダレー管区の遺跡都市バガンに次ぐ、3カ所目の世界遺産にミャウーを登録する目標を掲げ、1月にユネスコに提案書を提出。ユネスコが4月までに申請を受け付けるかどうかを判断する流れだと説明していた。

ミャウーを含む対象地域で戦闘が続いていることなどで、ユネスコから再提出を要請された可能性がある。

ミャウーは、15世紀から18世紀後半まで現在のラカイン州とミャンマー南西部を支配したアラカン王国の中心として栄えた。数百のパゴダ(仏塔)や寺院が現存しており、建築様式は独特で、農業や輸送に用いられた独自の水系もある。

国軍とAAの戦闘は激しさを増しており、4月には新型コロナウイルス感染防止対応で現地に入っていた世界保健機関(WHO)の車両が襲撃され、運転していたミャンマー人スタッフが死亡する事件も発生している。

ミャンマー政府が世界遺産登録を目指すミャウー遺跡=2017年、ラカイン州(NNA)

ミャンマー政府が世界遺産登録を目指すミャウー遺跡=2017年、ラカイン州(NNA)

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