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【マレーシア】4日から経済活動の大半再開[経済](2020/05/04)

マレーシア政府は、4日からほぼ全ての経済活動の再開を認める。ムヒディン首相が1日のテレビ演説で、新型コロナウイルス封じ込めのため3月18日から実施している活動制限令を、4日から「条件付き」にすると発表した。マスク着用や社会的距離の確保など、政府が規定する新型コロナ対策の標準作業手順書(SOP)の順守が、企業の操業再開の条件となる。

ムヒディン首相は、国内初の活動制限令による経済損失は1日当たり24億リンギ(約609億円)で、既に630億リンギに上ると指摘。同令を今後1カ月続ければ、経済損失がさらに350億リンギ増えるため、「経済の回復戦略と新型コロナ対策をバランス良く実施する」との方針を示した。

ムヒディン氏は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)は近い将来に終息しそうにないものの、保健省によれば、マレーシアは世界保健機関(WHO)が挙げる(感染抑止の)6条件を全て満たしたと説明。6条件は、▽輸入症例を防ぐための国境管理の強化▽国内感染抑止のための移動制限▽医療体制の整備▽高齢者、入院患者、身体障害者など感染リスクの高い人々の保護▽集まりの回避、社会的距離の維持、マスクの着用など生活の「ニューノーマル(新常態)」の導入▽各地域に(患者数ゼロの)グリーンゾーンを維持するための権限付与――だ。

このため、「ほぼ全て」の経済活動を再開するものの、大勢の人が集まり社会的距離の確保が難しい事業や活動は引き続き禁止すると表明した。具体的には、映画館、カラオケ、娯楽施設、ナイトクラブ、テーマパーク、イスラム教徒の断食月(ラマダン)や断食明け大祭(ハリラヤ・プアサ)のバザール、展示会などを挙げた。

学校の休校は続ける。スタジアムでのサッカー観戦なども認めないが、ゴルフやテニス、ジョギングなど屋外で無観客、10人以下で行うスポーツは認める。

帰省を含む州をまたぐ移動は引き続き禁じるほか、在宅勤務を推奨する。生活用品の買い出しなどを除き原則的に禁じていた外出は可能にするが、不要不急の外出を避けるよう国民に呼び掛けた。

■感染対策の手順策定も条件に

首相府は、操業再開で企業が守るべきSOPと、28業種についての再開に当たっての注意点を、サイト<www.pmo.gov.my/2020/05/sop-pembukaan-semula-sektor-ekonomi/>上で公表した。

それによると、企業の操業再開では、▽健康対策の実施▽衛生習慣の促進▽感染予防策の実施▽従業員による集まりの回避――の順守を求める。

具体的には、従業員の社会的距離(1メートル以上、可能であれば2メートル)の確保、マスクの着用、事業所で1日2回以上の消毒などで、感染対策プロトコル(手順)の策定も含まれる。

製造業については、24時間操業(営業対応は午前9時~午後6時)、フル稼働を認めるものの、企業は保健省の基準<www.moh.gov.my/index.php/pages/view/2019-ncov-wuhan-guidelines>に従い、感染防止のプロトコルを策定しなければならない。

また、▽工場敷地の入り口で毎日、発熱、せき、喉の痛み、息切れなどの新型コロナウイルス感染症の症状を検出する検査の実施▽感染疑いで全従業員の5%以上が欠勤した場合は保健省へ報告▽体温37.5度以上か症状がある従業員は病院に搬送し、社内に入れないこと▽ロビー、エレベーター、カフェテリア、会議室、礼拝所、従業員の送迎車両、トイレなど公共空間の1日3回以上の消毒▽社内の感染防止策や検査費用の全額会社負担――などを求める。

貿易産業省(MITI)は企業に対し、操業再開に当たり、SOPの順守を約束する通知の提出を求めているが、「(操業許可の)申請ではない」と説明している。

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