【インド】生産拠点の中国離れ進むか[経済](2020/05/01)

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新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を契機に、米国やその同盟関係にある国々では、中国から生産拠点を移そうと検討する動きが出始めている。サプライチェーン(供給網)の見直しは妥当なのか、インドは移転先の選択肢になり得るのか。インドの地政学者であるマニパル大学のMDナラパット教授に聞いた。

「マカオは東南アジアの有力者を引きつけている」と話すナラパット氏(同氏提供)

「マカオは東南アジアの有力者を引きつけている」と話すナラパット氏(同氏提供)

――米国をはじめ各国の企業は、中国から他国へ生産拠点を移すか。

米国および米国と同盟関係にある国々の「米国陣営」と、「中国・ロシア陣営」があると考える。軍事であれ物流であれ、両方の陣営で運営し続けることは次第に困難になり、いずれの側にいるのかを決断する必要性が高まっている。こうした状況を踏まえると、米国の同盟諸国は中国からサプライチェーンを移そうとするだろう。

――インドは投資先になるか。

インドの規制と税制が大幅に見直され、司法制度がより迅速で透明性が高く、予測可能になった場合に限り、インドは各国企業にとって中国からの有望な移転先となるだろう。規制や裁判所の決定によって、大規模事業や一流企業が当地での運営を断念せざるを得ないことが過去にあった。こうしたインドの状況が、投資意欲に悪影響を及ぼしている。

――パンデミックが続くなか米中関係は悪化したか。

中国の指導者たちは当初から、国際的にトップの地位を築く上での一番のライバルが米国になることは理解していた。米国はかつて掲げていた自国の領土や、勢力の膨張を正当化する「マニフェスト・デスティニー」を放棄しており、中国が世界で一番の力を持ち米国を追い越そうとしていることを認識している。

とりわけ習近平国家主席は、人工知能(AI)分野で中国を世界的なリーダーにしようと動いており、長きにわたって米ドルが持っていた優位性を持つデジタル通貨の創出を目指している。こうした状況下で、米国が中国をかつての旧ソ連のような宿敵と捉えるのも無理はない。

――中国と南アジアや東南アジアとの関係は新型コロナでどう変化するか。

トランプ大統領は、いかなる取引でも米国に95%、他方に5%の利益を望んでいる。これは寛大な条件を提示する中国に有利に働く。南アジア諸国は、むしろ気前の良い条件の提示を望んでいる。トランプ政権はどちらかが獲得し、どちらかが失うという「ゼロサム」ではなく、双方が獲得する「ウィンウィン」の概念を理解する必要がある。

中国共産党と習近平国家主席のリーダーシップを過小評価してはならない。東南アジアには中国寄りの強力なビジネスおよび社会的勢力が存在する。中国が世界的な反発を受けていたとしても、東南アジアには有力な友人を持ち続けるだろう。

――「ポストコロナ」に新しい世界的な経済秩序は生まれるか。

生まれ得るだろう。インドと日本は素晴らしい補完性を持っている。両国の官僚がシナジー(相乗効果)の重要な部分を認識し、その潜在的能力を引き出せるかどうかにかかっている。(聞き手=アトゥル・ランジャン/Atul Ranjan)

<プロフィル>

MDナラパット教授

インドのマニパル大学で地政・国際関係学のダイレクターを務める。著名なコラムニストおよび地政学の権威として、インドや世界のメディア向けに国際関係に関する執筆活動を行っている。

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